【コラムニスト:渡會拓己】2022.1.28
「努力するということは、うんこすることと同じだ。」
この言葉を聞いてどのように感じただろうか。これは国民的人気アニメ『クレヨンしんちゃん』に登場する主人公しんのすけの父、野原ひろしのセリフである。『クレヨンしんちゃん』は人気アニメである反面、日本PTA協会が発表した『子どもとメディアに関する意識調査』のアンケートで「子どもに見せたくない番組」の2位にランクインした過去がある。その理由の多くは下品であるという点である。しかし私は『クレヨンしんちゃん』こそ子どもに見せたい番組だと思う。
『クレヨンしんちゃん』には数多くの名言がある。その名言は見ている子ども達にたくさんのことを教えてくれる。さらにそれは子どもでもわかるよう、記憶に残るよう、工夫がほどこされている。先に紹介したセリフも続きがある。しかし、『クレヨンしんちゃん』を下品だという理由で子どもに見せたくないという親はそのセリフの続きも聞かずに否定する。「このセリフはただの下品なセリフだ」と。
「努力するということは、うんこすることと同じだ。1.踏ん張ること。2.毎日すること。3.水に流すこと。4.その姿は決して人には見せないこと。」
この言葉を聞いてどのように感じただろうか。ここまで聞いて「このセリフはただの下品なセリフだ」と感じるものはそういないと思う。このセリフはうんこという言葉を用いることにより、子どもにもわかるよう、記憶に残るよう、努力というものについて教えてくれる。努力をしている、頑張っている、という子どもにこのセリフから本当の努力というものを学んでほしい。努力とは、うんこをすることと同じように踏ん張って頑張って、うんこをすることと同じように毎日することが当たり前で、うんこをすることと同じように人に自慢するようなことでなく、便器にへばりついたうんこと同じように粘り強くへばりついて、そしてうんこをすることと同じようにその姿は決して人には見せないものであると。
今ではSNSやネットニュースなどさまざまなメディアにより多くの情報を得ることができる。現代は情報化社会とも呼ばれ、情報は諸資源と同等の価値を持つようになり、情報を中心として社会が機能している。しかし、その情報の中には事実だけではなく個人の意見や嘘の情報が多く含まれている。そのため、現代人はメディアリテラシーを身につけることが必要不可欠である。周りの意見や先入観のみで物事を判断するのではなく、自分で見て、確かめることが重要である。そのまず第1歩として土曜の午後4時30分からテレビ朝日で『クレヨンしんちゃん』を見てみるのはどうだろうか。