【コラムニスト:川路空夏】2020.5.1
皆さんに問題です。司会者「ここに三つのドアがあります。どれか一つのドアの向こうには車があります。それを当てれば車を差し上げましょう。ただし、他の二つのドアの向こうにはヤギがいます。ヤギのドアを開けてしまったらハズレです。」この時点であなたが一つのドアを選んだとして、そのドアが当たりである確率は1/3です。すると、司会者があなたの選んでないドアでハズレのドアを開けてこう言いました。司会者「このドアはハズレです。もう一度、ドアを選びなおすチャンスをあげましょう。開けるドアを変えますか?そえとも、今選んでいるドアのままでよいですか?」さて、あなたがアタリを選ぶ確率を上げるためには、ドアを変えた方がよいか?それとも変えなくてもよいか?
この問題は、数学界で一番有名といっても過言ではないモンティホール問題(1990年)という問題です。なぜそれほど有名なのかというと、当時世界で一番IQが高い人物でギネス記録にも載っていたマリリンという女性が、この問題に対して「正解は『ドアを変更する』である。なぜなら、ドアを変更した場合には景品を当てる確率が2倍になるからだ」と言ったところ、多数の数学者から「その答えは間違っている!」、「早々に自分の間違いを認めるべきだ!」など酷いバッシングを受けたからです。私も初めてこの問題を見たとき「確率は変わらない」と思っていました。彼女は数学者ではないため間違えてしまったのでしょうか?結論から言うと、ドアを変えた方が当たる確率は2倍になる。このことは後にパーソナルコンピュータでモンテカルロ法を用いて数百回のシミュレーションを行った結果、彼女の答えと一致したことから議論は収束することとなりました。
彼女は多くのバッシングを受けながらも自らの主張を曲げなかったことが、確率論の分野が発展するきっかけとなりました。もし彼女が自分の意見を曲げてしまっていたら確率論の分野はこれほど発展していなかったと思います。私はこの記事を読んで、自分の周りで他人と違う主張をしている人がいたら突っかからずに立ち止まって考えてみよう、そして、相手の主張が正しい可能性を探ってみようと考えさせられました。
引用元サイト:https://analytics-notty.tech/interesting-paradox-of-math/