【コラムニスト:引原有輝】2020.4.9
経済学において人の消費(購買)行動を考える場合、AIDMモデルと呼ばれる理論が用いられます。AはAttention(注目)、IはInterest(興味)、DはDesier(欲求)、MはMemory(記憶)の頭文字です。A→I→D→Mというステージを経て、Action(消費行動)が誘発されるというものです。しかし、実状はそんな簡単にはいかないようです。つまり、「行動(消費)する意志」はあるけれども、かなりの確率で「実行動(消費)」には至らないということです。
この側面を、健康行動に置き換えてみると、とても納得できます。「健康(ダイエット)のためにフィットネスクラブに入会して、定期的に運動を継続してみよう(*_*)」と思いながらも実際に入会手続きに至るには、相当な時間がかかってしまいますし、心身のエネルギー(労力)を使います。つまり、ある目的を達成するためには、人は大きなエネルギー(労力)を使うことを潜在的に理解しているので、意外と頭の中で満足して(諦めて)終わることが多いのかもしれません。
そこで、「つ・い・で・に」その目的を達成するようなシチュエーションだとどうでしょうか。普段の生活行動の「ついでに」自分が気になっていた目的を達成することができるような「ついでに」のシチュエーションです。言い換えればエネルギー(労力)を使わずに達成できるシチュエーションです。そんな仕掛けを考えてみるのはとても面白い気がします。心理学を基礎にする行動分析学、仕掛け学、行動デザイン学といった近年、注目を集める応用学問分野にそのヒントがあるかもしれません。