・自己と他者を大切にし、協働・協調の姿勢でコミュニケーションを図ろうとする。
・学習内容のなりたちやルールなどの本質を捉え、自分や環境を俯瞰する中で、健康で安全な集団形成に向けたよりよい解決方法を創造できる。
・それらを体現できる基礎体力、技能を身に着ける。
自身の健康の保持増進や生涯にわたる豊かなスポーツライフの実現に向け、学校で共に学ぶ意義とは何かを考え、人との関わりのなかで人は育つという点を特に意識しています。よって生徒同士の関わりを増やすため、授業では課題解決の機会を設定することで、合理的、計画的な解決を図る学習過程を通して、体育の見方・考え方ができることをめざしています。その積み重ねにより、保健体育が目指す資質・能力が育ち、自己や他者、そして社会にとって望ましい豊かなスポーツライフの実現が成されるよう日々実践をしています。
2021年度までのICTを活用した「生徒一人ひとりの学びを深める授業」の実践事例はこちら
・うち2単位 種目選択制体育 →競技力向上・合理的課題解決
・うち1単位 生涯スポーツ ( クラス企画スポーツ・ファミリースポーツ) →楽しむ資質・協働協調的課題解決
<目的>
「高校卒業後に、その種目に親しみ、自分達でプレーできるようにする」こと。それに向けて、自分達の課題把握とその解決を図りながら、競技力向上をめざします。
<形態>
1種目30名程度。班(5〜10名)を作り、班別課題解決型学習
・単元始め 班で目標決定をし、単元計画(内容・担当者)を作成
・授業2日前まで 授業計画を教員に提出→内容の確認
・授業当日 計画に沿った実技の実施
・授業後 ふりかえりとフィードバック(チームメイト・教員から)
→次の担当者へ引き継ぎ
前期
(月) 器械運動・ソフトボール・テニス から1種目
(水) バドミントン・アルティメット・ダンスから1種目
後期
(月) バレーボール・ハンドボール・陸上競技 から1種目
(水) バスケットボール・サッカー・卓球から1種目
担当者は、約10回の授業時数内で、最終的に公式戦ができるように計画を立てます。
班で取り組む内容は、目標や進捗度を踏まえて担当者が計画をします。
単元計画をもとに、各授業時に必要な内容を計画します。
授業計画では、タイムラインと実施の詳細を記入し、「いつ」「誰が」「何を」「どうする」のかわかるようにしておきます。
担当教員は、「目標に対する内容の妥当性」や「安全面」等について確認をし、担当者と当日の打ち合わせをします。
この時に、単に定型の練習をするのではなく、「なぜその活動が必要なのか」と理由を問い、目標設定の重要性や効果的な課題解決をすることを意識させます。
担当者が本時の目標や流れを全体に周知
※写真は2021年度以前のもの
動き方などを相談
公式戦を自分たちで運営
結果発表
授業の最後に班で集まってその日のふりかえりをします。
・「何ができるようになったか」
・「何が足りないのか」
・「これから何をするのか」
を共通認識し、協力して課題解決をめざします。
1安全面
2内容の妥当性
3集団づくり
4種目に対する理解度
5担当者としての心構え
の点について、担当者の個人内評価・班のメンバーからの相互評価・教員からの評価を行います。
<目的>
選択制体育は競技力向上をめざすのに対して、クラス企画ではスポーツの楽しみ方の幅を広げる。また自分にあったスポーツとのかかわりに気づくことをねらいとしています。
<形態>
クラス単位(約40名)を男女共修で実施しています。
<内容>
班(5〜7名)が企画・運営者となり、残りのメンバーを参加者に見立てたスポーツ企画を実施。
企画の評価をアンケートで集め、その結果をクラスで共有し、クラス全体としてスポーツを楽しむ力の向上をはかる。
<流れ>
・授業2週間前まで :企画書の提出
・授業1週間前まで :計画書の提出
・授業3日前まで :生徒アンケートの提出
・授業前日まで :Googleclassroom等でのクラス案内
・授業当日 :準備・運営・ふりかえり
・授業後1週間まで :生徒アンケートや教員のフィードバックなどから、個人のふりかえりと報告書の共有
単元計画
単元の計画として
①教員が40名に対して基本的は形で実施。(様子をわからせる)
↓
② ①を踏まえて、より自分達が楽しめる形にして担当班が企画をする。
2021年度の種目
・グラウンド・ゴルフ
・フロアバレー
・ドッジビー
・キンボール
・イントロバドミントン(自己紹介introductionとバドミントンの掛け合わせ)
・インディアカ
・教員参加
企画書
目標を最初に定めます。
「このスポーツを終えた時に、クラスメートがどうなっていてほしいのか」というように、めざす生徒の姿を明確にさせます。
取り組みの柱をしっかりと決めておかないと、「スポーツをすること」自体が目的となってしまうことがあります。このあとの授業計画の指針となるので、計画前に教員と担当者で確認をしておきます。
授業計画
選択制体育での学びを生かして計画をします。
ルールがオリジナルであることが多いため、「何を意図したルールなのか」「安全に行えるか」などを教員からアドバイスをします。
授業前に、担当者で事前にやってみて実現可能か試すということも大切にしています。
Googleclassroom等でのクラス案内
授業の内容やアンケートの依頼等をGoogleclassroomで行います。
当日の様子
担当者が全体指揮
ホワイトボード等を用いてオリジナルルールの共有
参加者同士が関われるようなルールの工夫
教員をゲストに呼んでスポーツを企画
生徒の担当班で
・全体指揮
・審判
・用具の準備
・進行補助 など
それぞれの役割を果たします。
担当者には、楽しくスポーツを楽しめる雰囲気づくりを推進する「アクセル」の役割と、安全に実技を行うためにほどよくセーブをかける「ブレーキ」、その両方を意識するように指導をしています。
生徒 相互評価アンケート
アンケートの内容 例
アンケート項目
0 自由質問(企画者らが設定)
1 イベントのコンセプトが明確だったか
2 スポーツの楽しさを得られるものだったか
3 参加者のニーズに合っていたか
4 安全に実技ができるよう配慮されていたか
5 事前の連絡で必要なことが伝わっていたか
6 当日の準備や運営は円滑だったか
7 運営者らの意欲や熱意は感じたか
ふりかえり
ふりかえりの回答 実例
1 準備・当日運営・ふりかえりまでで、あなたが行った内容を書いてください。
Aさん
・ 実際のルールにどんなルールを付け加えるかをみんなで話し合って考えた。
・コート含め準備を朝早く来てした。
・実際人数が足りてないチームに入ってやったり、色んなチームのところにいってサーブのやり方を教えたりした。(前日にみんなで練習したからサーブできた)
・最後の振り返り
2 授業を通して学んだことは何ですか。今後どのように生かしていきますか。
Bさん
実際に怪我をする人はいなかったが、一回目の先生の授業で見せてもらった映像でやらないでほしいことや注意してほしいことが気をつけれておらず、今回も注意する必要があったことです。また、サークルリフティングではヘディングはできるだけしないように言ったことでヘディングを力一杯する人が私の入ったチームではいなかったので、もっと注意事項を言えば気をつけてもらえると思いました。事前にチーム決めをできていたことは良かったが、欠席者の予想ができておらず、前半でもたついてしまったため、欠席者の予想をしておくことが必要だと学びました。また、企画者は完全に1つのチームに固めたり、バラバラのチームにすることで指示を相談してできたり、逆に一人ずつバラバラに指示を出せると思いました。
3 その他 授業の感想や意見など よりよい授業のために自由に書いてください。
Cさん
授業が終わってから、みんなに楽しかったと言って貰えて、真剣に取り組んでよかったなと思えました。3の1は、普段から誰かが言ったことに対するリアクションを積極的にできるクラスで、その分私たち担当者も授業を進めやすかったです。ただ、授業前にテニスボールの倉庫の鍵を取り忘れていてけやき坂をダッシュしたのはしんどかったです。他の班の授業もまだあるので、それも楽しみたいと思います。
使用教材の一部を公開しています。