2020年度はコロナの影響で、例年実施している研究授業発表会を対面で実施することができませんでした。その状況下でも研究活動を止めず、研究校として何ができるかを考え、オンラインで情報を発信することにしました。2020年度の研究テーマを踏まえた授業実践事例(非常勤講師を除く全教員が対象)や研究活動の概要、オンライン学習環境整備に関する取り組みを紹介します。
オンラインで発信すること自体が、新たなチャレンジとなります。たくさんの方に是非ご覧いただきたく思います。皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。→ 研究発信アンケート
本校の活動が、各校のよりよい教育活動につながれば幸いです。
目次
本校は国立大学附属学校として、基礎学力を充実させる普通教育を基軸とし、独自の教育を実施しています。そして、それらに関する研究活動を推進し、研究成果の公開や普及を役割としています。
「生徒一人ひとりの興味や関心が異なったり、学力に幅があったりするにもかかわらず、同一の学習内容・方法で果たして本当に学びになっているのか」という問題意識を踏まえて、研究テーマを設定しました。課題解決に向け、新学習指導要領の柱である、資質・能力の育成を目指す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に焦点をあて、学校の教育力向上をめざしています。
2020年度は「毎授業もしくは単元の一部で、生徒がそれぞれにあった学び方のできる場面を設定する」というスローガンのもと、学校全体の授業改善を行っています。学校のめざす生徒像(目標)を設定し、その実現に向けて、各教員が生徒の実態を踏まえながら「生徒一人ひとりの学びを深める」様々な指導方法を実践・研究するサイクルを実践しています。
1 学校がめざす生徒像の設定
2 授業実践事例の共有・情報交換
3 授業公開期間の設定
4 教員研修
5 総合的な探究の時間
6 令和2年度 大阪教育大学池田地区附属学校研究発表会
今年度の主な取り組みです。以下はその詳細の紹介です。
学校としてめざすものを全教員で共有すべく、めざす生徒像を設定しました。
目標はトップダウンで与えられるものではなく、各実践者が設定するものと考えられます。そのため、まず各教科で目標設定→その集合体として学校がめざすものとは?という順序で、考えていきました。
上のフレーズに、各教員の願いや課題意識が集約されています。以下はその詳細です。
①各教科がめざす生徒像
設定の背景などの詳細は、各教科のページをご覧ください。
様々な言語活動や文化・文献に興味関心を持って向き合い、思考力や探究心を深めたり、人間の心情理解に努めたりしながら、それを実際の生活に活かしていこうとする生徒。
グローバル化する国際社会において調和ある世界の発展に主体的に貢献できる人物。
現実世界とのつながりを意識できる。主体的に学びに向かい、自分の考えを表現できる。他分野との関わりを見つけられる。
身近な現象、自然現象に興味・関心をもち、常に自身の「問い」を設定できる。
「問い」に対し、主体的に観察や実験を行い、自身の考察を説明できる。
自己と他者を大切にし、協働・協調の姿勢でコミュニケーションを図ろうとする。学習内容のなりたちやルールなどの本質を捉え、自分や環境を客観視し、安全でよりよい課題解決法を考え挑戦できる。それらを体現できる基礎体力・技能を身に着けられる。
自ら主体的に取り組む姿勢を持つ生徒。ものごとを多角的に考えられるグローバルな視野を持つ生徒。現時点の自らの立ち位置を確認しながら自分で目標設定をしてそれに向かって努力できる生徒。自己肯定感を高められる生徒。
②学校がめざす生徒像
各教科がめざす生徒像から共通項を見出し、学校全体でめざす生徒像を、以下の2文にまとめました。
・主体的に物事を探究し、学びから得た知見を実社会・実生活に活かして、課題解決を図ることができる。
・学びの中で多角的な視点を育み、自他ともに尊重しながら、協働的で調和ある社会づくりに貢献できる。
この2文をさらに凝縮したものが、冒頭の「学校がめざす生徒像」です。各教員の願いや課題意識が集約されたものを掲げています。
今年度初めは休校期間がありましたが、学びを止めないために、各教員がオンライン学習指導の実践やそれに関する情報交換を活発に行いました。
その流れに乗り、教員全員(非常勤を除く)が、各授業での実践をオンラインで発信し、それを全体で共有しました。(プラットフォームはMicrosoft Teamsを利用)
いつでも、どこでも、好きな時に閲覧できるオンラインの強みを生かした取り組みです。
<目的>
・附属池田教員のチームづくり(チームの活性化、授業の活性化)
・研究方針である「個人実践 → 教科で共有・研究 → 他教科との共有協議 → 改良して実践」というサイクルを、継続的かつ効果的に行うこと
<内容>
・全教員(非常勤を除く)が輪番で実践報告 (個人の授業実践などを投稿)
・実践に関する意見交流
・研究会や他校の実践紹介などの情報交換
実践事例内容の例 ↓画像をめくることができます。
2020年11月20日〜25日 に実施。日常的に授業見学は可能ですが、重点期間として設定し、積極的に見学を呼びかけました。
同じキャンパスにある附属小学校・中学校の教員の見学も可能としています。
<目的>
・他の授業での生徒の様子を知り、より多面的に生徒の実態を把握する。
・授業見学により多様な指導法に触れ、学校全体の授業力向上を図る。
<内容>
・各自が見学授業を選ぶための参考資料として、期間中の授業内容を明記した時間割を作成する。
・授業見学をしたら、授業見学カード(授業者・内容・授業の感想など・見学者名)を記入し、模造紙に貼る。
※雰囲気作りとして、模造紙を木の枝、見学カードを花びらに見立て、貼っていくと大きな木に花が咲いていく様子にしました。
職員室にて状況を可視化することで、教員の参加を促します。
アナログではありますが、教員同士のコミュニケーションの一助となりました。
教職員の能力向上のため、関係教員と連携して定期的に研修を行っています。
・第1回 4月「2020年度研究テーマ」: 本校の役割やこれまでの研究活動、及び今年度の方針やスケジュールの確認。
・第2回 6月「救急救命講習」 :一次救命(胸骨圧迫・人工呼吸・AED)の訓練。
・第3回 8月 「大阪教育大学のWWL事業構想について」:大阪教育大学片桐副学長による講演。
・第4回 12月 「G-suite活用」 :次年度からスタートするBYADに向け、ICT活用力の向上 。
・第5回 3月 「アカデミック・ライティング」:大阪大学 堀先生・坂尻先生による研修。生徒のレポート添削や評価に関する指導力向上。
よりよい教育を行えるよう、継続的に研鑽をします。
多教科連携の横断的な学習により、高校生として深い総合的な「学び」を目指しています。
1年次には、週1時間グループで探究活動を、2年次には週2時間個人探究活動を行なっています。
※学校のHPへ移動します。
<附属池田小中高共同研究テーマ>
「社会とつながり、明日を切り拓く資質・能力の育成 〜探究のプロセスの構築〜」
同テーマでの3年計画の2年目になります。今年度は探究の「プロセス」に着目して実践を行っています。
※附属池田中学校のHPへ移動します。
オンラインでの公開期間 2021年1月23日(土)〜2月7日(日)
※公開は終了しました。ご参加ありがとうございました。