llamatron_readme

Llamatron_Readme

Llamasoftが生き残っていけるのかはユーザの正直さ次第。

1991年のリリース時のReadmeの翻訳(現在はLlamatronは無償で配布しています) 。

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このLlamasoftの最新ゲームを無料、もしくはパブリックドメインディスクの値段だけで入手できるのは何故か疑問に思っているかもしれない。 理由はたくさんある。 とても多くの理由が。 警察に電話しようか。

Yakが説明しよう。

Llamasoftは1982年から存在している。 つまり一番長く生き残っているソフトハウス(うむ、Microdealは除いてだ。やあ、Microdealがまだ生き残ってるのは知ってるよ。よくやってると思う。まだ存在していてくれてうれしい、だから訴えないでくれ、私はキーボードで遊んでるだけだから)で、ビデオゲーム業界、そしてその発展についてよく理解しているということになる。

業界はこんな感じだった。

非常に初期のころには、ゲームの製作者とプレイヤーの間の関係は非常に近いものだった。 たとえばVicセンターに行ってみれば、多くのゲームがあって、遊んで好きなものを買う。 すばらしい。 悪いゲームは売れ残り、良いゲームが売れていた。

それから、人気が出たものではよくあることだが、スーツの男達がやってきた。 プログラマーがゲームを売ってお金を得ているのを見て、彼らは介入することに決めた。 「このかわいそうなプログラマ達を助けてあげよう」と、彼らは言った。 「我々ならこうしたゲームを皆に売りつけることができる。 プログラマ達をアセンブラのところに戻して、彼らがテープの複製や、在庫で居間であふれるなんてことを心配しないでいいようにしてあげよう。」

そして、スーツの男達は、すべての雑誌にエアブラシのアートワーク入りの広告を出し、プログラマーはアセンブラのもとに戻り、しばらくはそれで幸せだった。 スーツの男達も幸せだった。スーツの男達の中には分け前を得て、ポルシェに乗れるようになるものもいた。

スーツの男達は市場を見て、商品の多様性に狼狽した。 「これでは効率的ではない」と、彼らは考えた。 「どうやったらこの市場をうまく利用できるだろうか? 我々にとって都合よくするにはどうしたらいいだろうか?」 そして彼らは映画版権ゲームとアーケードからの移植を作った。 彼らは真夜中に火を起こし、計算機と携帯電話に呪文を唱えて、とうとう魔法の公式を生み出した。 「たくさんのグラフィックだ!」と、彼らはプログラマーに言った。 「たくさんの音楽だ! アーノルド・シュワルツネッガーを入れろ! 新しいゲームをデザインする必要はもはやない。グラフィックを変えて、ゲームデザインはそのままで、箱にインディ・ジョーンズの写真をつければそれでいい! お前はもはや何も考える必要はないのだ!」

プログラマはアセンブラの元へと帰った。 スーツの男はプログラマのゲームの厳密な仕様が書かれた紙を渡した。 プログラマはローンを払わなければならなかったので、コードを書き、雇われの身になった。 スーツの男は高笑いし、さらに大きな分け前を得て、もっと札束を手に入れられるように市場を変えていった。そうして、彼らはフェラーリを乗り回し、業界のディナーをバカにするようになった。

今の業界はこんな感じだ。

すべてのビデオゲームはダレンとして知られる理論上の存在のためにデザインされている。 ダレンはそばかす顔の14歳の男で、人付き合いが苦手で、時間を自分の寝室でコンピュータでゲームを遊ぶことに費やしている。 ダレンはグラフィックと音楽にはすぐに感動するが、複雑なことを学びたいとはまったく思っていない。だからニンジャ・ハンプスターが出ていてケンプストンで動くゲームだったら、それでいいと思っている。 どうやっているのかわからないが、彼は父親から毎週25ポンドお金をもらって、それでグラフィックス違いのAmiga版R-Typeの最新版を買っている。どうやって金をもらえてるかは私に聞かないでくれ。 そうやってゲームを買うか、しばらく待って友人のウェインのところで数週間で出回る海賊版を手に入れる。

結果として、プログラマがクリエイティブ性を維持することも、生計を立てることも非常に難しくなってしまった。 独立系の小さい開発会社がゲームを出すことはほとんど不可能になってしまった。ゲームを出すには流通と広告で大きな会社の力を借りなければならず、そして大きな会社は普通の宇宙船とエイリアンものを望んでいて、ラマもだめだし、変なものもだめだ。

しかしながら、ディスクベースのマシンが人気となったことで、パブリックドメインプログラムというものが現れてきた。 パブリックドメインライブラリによって、膨大なフリーソフトウェアにアクセスができる。 パブリックドメインのソフトは、商用以下のものが通常で、よいユーティリティではあっても商用ソフトの「洗練」はかけている。

このPDライブラリを使って興味がある人が誰でも手に入れられるようにソフトウェアを配布し、ちょっとお金も稼げれば素敵だ。そしてここにシェアウェアの考えが出てきた。

シェアウェアの原則は簡単だ。 ゲームはPDライブラリで配布される。BBSにアップロードしてコピーを配布する。 ユーザは完全版のゲームをメディアの価格だけで手に入れることができ、家に持ち帰って遊ぶことができる。 もしユーザがゲームを気に入ったら、作者にシェアウェアの料金を払う。 普通、作者はいくつかのグッズを送り返し(登録の特典として)、もし十分な人数がお金を払ったら、作者はもっとシェアウェアを作るかもしれない。

もちろんゲームを嫌いだったら何も払う必要はない。 もちろんゲームは好きだけどお金を払わない人も多いだろう。しかし、もしそうした人が多すぎればまともなシェアウェアを作る人はいなくなり、すべてダレンの25ポンドのゲームの世界に戻ってしまうだろう。

つまり、これはユーザ次第だ。もしユーザが正直なら、プログラマはシェアウェアリリースを熱心に行うようになる。

シェアウェアの概念はとても理想主義的で、非現実的なのかもしれない。しかし、既存のビデオゲーム市場に対する優位性は大きいので、一度は試してみる必要があると思った。 この実験への反応が、Llamasoftがシェアウェアを続けるかどうかを決定することになる。

このゲームはDefenderの作者によるウィリアムズのアーケードゲームを元にしている。 元になったゲーム、ロボトロンは80年代前半の大ヒットで、その公式の続編スマッシュTVは昨年のアーケードのヒットだった。 LlamatronはロボトロンのアイデアをYak的に捻じ曲げて、Llamasoftスタイルで新しいゲーム内容といっぱいのふさふさの動物を追加している。 通常の値段のゲームとして金をふんだくることもできただろうが、Yakはシェアウェアの考えを気に入ったのでシェアウェアとしてためしに出すことにした。

つまりこういうことだ。 あなたはLlamatronを遊んで、心にひっかかるか試す。 もしそうなら(そうだとしたら熱狂的に気に入るだろうと思う)、我々に5ポンドを送ってほしい。そうすれば正直な行動の見返りとして、銃を持ったラマのかっこいいポスターと、1988年にリリースされて評価されたAndes Attackの完全版を送ろう。 5ポンドで2つのゲーム。悪くないはずだ。 もし良い反応が得られたら、もっとシェアウェアを作ろう。 もっと良いシェアウェアを。

Llamatronのシェアウェア料金として5ポンドを払ってほしいと思っている。支払い先は、 LLAMASOFT, 49 Mount Pleasant, Tadley, Hants RG26 6BN, U.K. だ。(訳注:この住所は現在は使われていません)ゲームについての感想と、シェアウェア一般についてどう思うかも知らせてほしい。

-- Y a K 10/04/1991