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交通事件では、死亡事故や重大な事故であっても、加害者が必ず逮捕されるわけではありません。
逮捕せずに捜査を進める事件は、一般に「在宅事件」と呼ばれます。逮捕されていないからといって、捜査が行われていないことや、事件が軽く扱われていることを直ちに意味するものではありません。
警察は、実況見分、関係者からの事情聴取、防犯カメラやドライブレコーダー映像の確認、車両の調査、速度や衝突状況の解析、飲酒の有無の確認などを行います。その後、原則として事件の記録を検察官へ送り、検察官が必要な捜査を行ったうえで、起訴するか不起訴とするかを判断します。
警察が事件の書類や証拠、被疑者の身柄などを検察官へ送ることを、法律上は「送致」といいます。
報道などで使われる「送検」は、一般に、警察から検察官へ事件を送ることを表す言葉です。書類や証拠を送る場合は「書類送検」と報道されることがありますが、法律上の正式な用語は「送致」です。
警察が被疑者を逮捕した場合、警察は原則として、逮捕から48時間以内に被疑者を釈放するか、事件を検察官へ送致しなければなりません。
事件の送致を受けた検察官は、原則として24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、被疑者を釈放するか、裁判官へ勾留を請求します。
裁判官が勾留を認めた場合、勾留期間は原則10日間です。やむを得ない事情がある場合には、さらに10日以内延長されることがあり、勾留期間は最大20日間となります。
そのため、逮捕後の最長72時間を含めると、逮捕から起訴または釈放の判断までの身体拘束期間は、一般に最大23日間です。
ただし、すべての事件で最大期間まで身柄を拘束されるわけではありません。また、これは一つの被疑事実についての一般的な期間であり、別の被疑事実による再逮捕などが行われた場合には、身体拘束がさらに続くことがあります。
なお、最大23日間というのは、逮捕後の身体拘束期間についての一般的な上限であり、捜査期間そのものの上限ではありません。勾留期間の満了などにより被疑者が釈放された後も、在宅のまま捜査が続き、後日、起訴または不起訴の判断が行われる場合があります。
起訴するかどうか、どの犯罪事実・罪名で起訴するかは、捜査結果を踏まえて検察官が判断します。
起訴後の刑事裁判は、原則として、起訴状に記載された犯罪事実と罪名を基礎として進められます。そのため、ご遺族にとっては、起訴の早さだけでなく、どのような事実が認定され、どの罪名で起訴される予定なのかについて、できる限り説明を受けることが重要です。
防犯カメラやドライブレコーダーの映像、速度・衝突状況の解析、飲酒に関する証拠など、判断の基礎となる客観的証拠についても、確認できる範囲や説明を受けられる範囲を担当検察官へ尋ねることが考えられます。
ただし、起訴前の捜査記録は原則として公開されるものではなく、被害者やご遺族が当然に閲覧できるわけではありません。映像などを実際に確認できるかどうかは、捜査への影響や記録の内容などを踏まえて判断されます。
疑問や納得できない点がある場合には、起訴前の段階から担当検察官へ伝え、次の点について説明を求めることが考えられます。
どのような事故状況を認定しているのか
どの証拠を判断の基礎としているのか
加害者の供述と客観的証拠に矛盾がないか
速度、飲酒、信号、救護義務などをどのように判断しているのか
遺族が提出した資料や意見がどのように検討されているのか
検討されていない罪名や事実がある場合、その理由は何か
被疑者が身柄を拘束されている事件では、法律上の時間制限があるため、処分までの時間を自由に延ばせるわけではありません。一方、在宅事件では、必要な捜査や検討に一定の時間を要する場合があります。
起訴を急ぐ気持ちになることもありますが、ご遺族が疑問を伝え、できる限り説明を受けたうえで、起訴内容を理解することが大切です。
検察官が事件を起訴すると、刑事裁判が始まります。
起訴には、公開の法廷で審理する「公判請求」と、簡易裁判所が書面で審理し、罰金または科料を科す「略式命令請求」があります。ここでは、主に公判請求された場合について説明します。
刑事裁判は、おおむね次のように進みます。
起訴
検察官が、犯罪事実と適用する法律などを記載した起訴状を裁判所へ提出します。
公判前の準備
裁判所、検察官、被告人側の弁護人が、第1回公判へ向けた準備を行います。裁判員裁判では、「公判前整理手続」が必ず行われます。
冒頭手続
公判で起訴状が朗読され、被告人と弁護人が、起訴された事実を認めるかどうかを述べます。
証拠調べ
証拠書類や証拠物の取調べ、証人尋問、被告人質問などが行われます。
論告・求刑と弁論
検察官が事実や刑についての意見と求刑を述べ、弁護人も最終的な意見を述べます。
判決
裁判所が有罪・無罪を判断し、有罪の場合は刑を言い渡します。
控訴・上告
検察官または被告人は、判決に不服がある場合、法律で定められた期間内に上級の裁判所へ不服を申し立てることができます。
被害者やご遺族が刑事裁判へ参加し、意見を伝えたり、一定の行為を行ったりするための制度があります。詳しくは、次の各ページをご覧ください。