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判決が言い渡されても、その時点ですべての刑事手続が終了するとは限りません。
判決に対して検察官または被告人が控訴すると、事件は高等裁判所で審理されます。控訴されずに判決が確定した後も、刑の執行状況や釈放、仮釈放などについて通知を受けたり、意見を伝えたりするための制度があります。
判決公判では、裁判長が主文を言い渡し、判決の理由を説明します。
主文には、有罪・無罪、刑の種類と期間、執行猶予の有無などが示されます。有罪判決の場合には、どのような事実と証拠が認定され、どのような事情を考慮して刑が決められたのかを確認することが大切です。
理解できない点がある場合は、担当検察官や被害者参加弁護士へ、次のような内容を確認してください。
どのような犯罪事実が認定されたのか
起訴された内容のうち、認められなかった部分があるか
被告人の供述をどのように評価したのか
ご遺族が提出した意見や証拠がどのように扱われたのか
求刑と判決が異なる場合、その理由をどのように考えるか
判決に控訴すべき問題があるか
判決書が自動的にご遺族へ交付されるとは限りません。判決書や刑事記録を確認する方法については、担当検察官、裁判所または記録を保管する検察庁へ確認してください。
判決前に被告人が勾留されていた場合、その日数の全部または一部が、言い渡された拘禁刑の刑期に算入されることがあります。
判決では、例えば次のように言い渡されます。
「被告人を拘禁刑3年に処する。未決勾留日数中100日をその刑に算入する。」
この場合、拘禁刑3年という刑の長さ自体が100日短くなるのではなく、100日分については、すでに刑を受けたものとして扱われます。そのため、判決確定後に刑事施設で過ごす期間は、その分短くなります。
尚、未決勾留日数の算入と仮釈放は別の制度です。未決勾留日数が刑期に算入されたうえで、後に仮釈放が認められる可能性もあります。
第一審判決に不服がある場合、検察官または被告人は、高等裁判所へ控訴できます。ご遺族や被害者参加人には、独立して控訴する権利はありません。そのため、ご遺族自身が裁判所へ控訴を申し立てることはできません。
ただし、検察官に対して、控訴してほしいという希望や、判決のどこに納得できないのかを伝えることはできます。
控訴するためには、判決に法律上の控訴理由が必要です。
主な控訴理由には、次のものがあります。
量刑不当
犯罪の重大性や被害の結果などに照らし、言い渡された刑が不当に軽いと考えられる場合
事実誤認
証拠の評価などに誤りがあり、その事実誤認が判決に影響を及ぼす場合
法令適用の誤り
法律の解釈・適用に誤りがあり、その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかな場合
控訴期間は14日間と限られています。判決に疑問がある場合は、できるだけ早く担当検察官へ説明を求め、控訴理由となる問題がないか確認してください。
控訴するかどうかは、検察官が判断します。ご遺族が控訴を希望しても、必ず検察官が控訴するとは限りません。
控訴期間は、判決が言い渡された日から14日間です。期間を数えるときは、判決が言い渡された当日は数えず、その翌日を1日目として数えます。
例えば、10月1日に判決が言い渡された場合は、10月2日が1日目、10月15日が14日目となります。14日間の途中にある土曜日、日曜日、祝日も日数に含まれます。土日や祝日を除いた14営業日ではありません。ただし、14日目が次の日に当たる場合は、その日を期間に算入せず、次の平日まで期限が延びます。
土曜日
日曜日
国民の祝日
1月2日、1月3日
12月29日から12月31日
例えば、14日目が土曜日の場合は、通常、その次の月曜日が期限となります。月曜日も祝日であれば、次の平日まで延びます。
実際の控訴期限は、判決の日や休日の並びによって異なります。判決後、担当検察官へ「控訴期限は何月何日ですか」と具体的な日付を確認してください。
ご遺族自身には控訴権がないため、検察官に控訴を求める場合は、期限当日では間に合わない可能性があります。控訴を希望する理由を整理し、できるだけ早く担当検察官へ伝えることが重要です。
被害者参加制度を利用し、裁判所から参加を許可されたご遺族(被害者参加人)と、その委託を受けた弁護士は、検察官に対して、控訴についての意見を述べることができます。
控訴を希望する場合は、判決のどの部分に問題があると考えるのかを、できるだけ早く担当検察官へ伝えてください。
ただし、控訴するかどうかは検察官が判断します。検察官が控訴する、または控訴しないこととした場合には、必要に応じて、その理由の説明を受けることができます。
検察官または被告人が控訴すると、高等裁判所で控訴審が行われます。
控訴審では、第一審判決に事実認定の誤り、法令の適用の誤り、量刑の不当などがないかが審理されます。第一審と同じように、すべての証人尋問や証拠調べを最初から行うとは限りません。
高等裁判所の判決に対しては、検察官または被告人が最高裁判所へ上告できます。ただし、上告理由は、検察官側と被告人側のどちらについても法律上限定されています。
法律上の主な上告理由は、憲法違反または憲法解釈の誤り、最高裁判所の判例と異なる判断、最高裁判所の判例がない場合に一定の過去の判例と異なる判断をしていることです。
そのため、単に事実認定に納得できない、刑が軽すぎるというだけでは、原則として上告理由にはなりません。
ただし、重大な法令違反や事実誤認、著しく不当な量刑などがあり、判決を破棄しなければ著しく正義に反すると最高裁判所が認めた場合には、職権で原判決を破棄することがあります。
控訴審や上告審でも被害者参加を希望する場合は、参加できる手続や必要な申出について、担当検察官や被害者参加弁護士へ確認してください。
控訴期間内に検察官と被告人のどちらからも控訴がなければ、第一審判決は確定します。
控訴や上告が行われた場合は、上級審の判決が確定するまで刑事裁判が続きます。
判決が確定したかどうかは、被害者等通知制度による通知を受けるほか、担当検察官または検察庁へ確認できます。
拘禁刑の実刑判決が確定すると、刑事施設で刑が執行されます。
被害者等通知制度を利用すると、希望する内容や事件の状況に応じて、受刑している刑事施設、刑の終了予定時期、釈放、仮釈放に関する事項などの通知を受けられることがあります。
どの情報の通知を受けられるか、どこへ申し出るかは、担当検察官や検察庁の被害者支援員へ確認してください。
執行猶予付きの判決では、定められた執行猶予期間中に刑の執行が猶予されます。
保護観察が付された場合には、保護観察所による指導や監督を受けます。保護観察が付されていない執行猶予の場合には、通常、保護観察所による継続的な指導・監督は行われません。
執行猶予の有無だけでなく、次の点も判決公判や担当検察官への確認によって把握しておくとよいでしょう。
執行猶予の期間
保護観察が付されているか
そのほか判決で言い渡された内容
判決が確定する時期
交通事件でも、加害者に拘禁刑の実刑判決が言い渡され、刑事施設に収容された場合には、仮釈放が認められることがあります。仮釈放された人は、残りの刑期が満了するまで保護観察を受けます。
有期拘禁刑では、法律上、刑期の3分の1を経過した後に仮釈放が可能となりますが、3分の1を経過すれば必ず釈放されるわけではありません。仮釈放を許可するかどうかは、受刑中の状況や再犯のおそれ、帰住先などを踏まえて地方更生保護委員会が判断します。
仮釈放の審理が行われる場合、ご遺族は、仮釈放に関する意見や被害に関する心情を伝える制度を利用できます。
伝えられる内容には、例えば次のようなものがあります。
仮釈放についての意見
被害によって現在も受けている影響
再び被害を受けることへの不安
生活地域への接近や接触についての心配
仮釈放後の生活や行動について望むこと
述べた意見などは、仮釈放を許すかどうかの判断において考慮されます。ただし、ご遺族の意見だけで仮釈放の可否が決まるものではありません。
制度の利用を希望する場合は、地方更生保護委員会または保護観察所へ確認してください。
受刑中または保護観察中の加害者へ心情や意見を伝える制度については、「心情等聴取・伝達制度」のページをご覧ください。
▶︎心情等聴取・伝達制度
判決後は、次の事項を確認しておくとよいでしょう。
判決の主文と理由
求刑と判決の違い
控訴期間
検察官と被告人が控訴したか
判決が確定した日
被害者等通知制度の申出状況
刑の執行や釈放について希望する通知
仮釈放に関する意見等聴取制度の利用方法
判決書や刑事記録を確認する方法
制度を利用するには、ご遺族からの申出が必要となるものがあります。判決後に連絡が途切れないよう、担当検察官や被害者支援員へ、今後どのような通知を受けられるのか確認してください。
▶︎ 法務省「裁判後の段階での被害者支援」
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-7.html
▶︎ 法務省「被害者等通知制度実施要領」
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-10.html
▶︎ 法務省「更生保護における犯罪被害者の方々のための制度」
https://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo_victim01.html
▶︎ e-Gov法令検索「刑事訴訟法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131