植物の葉や茎は、細胞分裂と細胞の伸長が巧妙にコントロールされて作られます。もしも、細胞分裂や細胞の伸びる方向がランダムに起こったら、植物の形は崩れてしまうことでしょう。
細胞分裂や伸長の方向は、細胞内の微小管の並びによって決まっています。しかしながら、微小管の並びがどのように決まっているかは、様々な仮説があるものの、良くわかっていません。細胞内の微小管が並ぶしくみの解明を目指しています。
タバコ培養細胞の微小管。細胞の表面で平行に並んでいる。
陸上植物の多くは茎を持ち、背を高く伸ばすことができます。茎が伸びるのは、細胞が細長く伸びるからです。
また、陸上植物は、表皮を持ち乾燥に耐えることができます。表皮は、細胞分裂により外と中の細胞を分けることにより作られます。
細胞が伸びる性質と、分裂して外と中の細胞を作り分ける性質は、植物の祖先が上陸したときか、それ以前に獲得されたものです。陸上植物に最も近縁の生物である接合藻類を研究材料に用いて、細胞分裂や伸長のしくみがどのようにして進化したのか明らかにしたいと考えています。
接合藻類で、唯一遺伝子組換え可能な生物であるヒメミカヅキモ。