担当者・協力者篠原和大(静岡大学)・小泉祐紀(静岡市文化財課)・梶山倫裕(静岡市立登呂博物館)・増田作一郎(水田耕作技術協力者)

所在地静岡市駿河区登呂五丁目10番5号 静岡市立登呂博物館(https://www.shizuoka-toromuseum.jp/)

遺跡情報:特別史跡登呂遺跡では集落と水田が一体となって発見されていますが、史跡公園では集落とともに水田や水路などの施設も同じ位置に復元されています。このため、弥生時代後期に登呂で行われた稲作を等身大で再現実験することが可能です。水田は集落が位置する微高地から南側に広がる微傾斜面を利用して、大畦畔からなる大区画とその内部の小区画に、くみ上げた地下水を区画溝1や中央水路から給排水する構造です。

実験概要:登呂水田での実験は、復元水田が整備された2009年から、静岡市教育委員会(当時)と静岡大学考古学研究室の協力のもと開始され、登呂博物館に管理が移るとともに市民水田としての利用など活用範囲が広げられながら現在に至っています。静岡大学考古学研究室が担当する実験田の一部では、静岡平野に見られる弥生時代後期の木製農耕具類を復元し、それのみを用いて耕起・代掻きなどの実験を行っています。また、様々な自然科学的方法を使って実験田と実際の埋没水田を比較する研究も行っています。

実験水田の場所

集落と水田が一体となった姿が、発掘された遺構と同じ位置に復元されています。

実験水田B区

2020年から16の小区画の内、4区画を不耕起区画、他は耕起・代掻きして栽培をしています。

最近の実験状況

耕起実験(2020年5月14日他)

弥生後期の農耕具再現した実験で、8cm前後の深さで耕起を行うことが可能とわかりました。

実験水田の土壌調査(2021年4月13日)

実験田の土壌微細構造の分析や雑草調査、田面の種実同定などの自然科学分析を行っています。

登呂遺跡埋没水田土壌(2022年 12月22日)

試掘調査で得られた実際の登呂遺跡水田土壌と実験田の試料を比較して検証します。