担当者・協力者:さいたま緑の森博物館(https://saitama-midorinomori.jp/)・菊地有希子・余語琢磨

所在地:埼玉県入間市宮寺西久保湿地

水田情報:実験田は、狭山丘陵の谷筋のひとつである西久保湿地にあります。雑木林と茶畑に挟まれた、湧水を利用する谷水田です。湿地のため乾かず、冬期湛水の水田です。1995 年のさいたま緑の森博物館の開館に合わせて、休耕中であった西久保湿地の水田が整備され、1998 年から早稲田大学考古学研究室の有志メンバーを中心に、水田の一面を間借りする形で栽培実験を開始しました。以降、継続的に栽培を行っており、2023 年で26 年目になります。26 年間無農薬、22 年以上無肥料、機械は使用せず、作業はすべて人力で行なっています。実験田は約250 で、中に8 つの小区画を作っています。

実験概要:現在栽培している赤米は、北上、対馬、種子島、国分寺の4 種類です。これまでには、収量、埋土種子は周辺植生をどの程度反映するのか、プラント・オパールの分布状況、収量に対する気候の影響、などについて検討してきました。収量では、百間川原尾島遺跡(岡山県)の弥生時代後期の水田跡でみつかっている稲株痕とされている痕跡の密度を再現し、現代の一般的な株密度と比較しました。2021 年からは3 区画で不耕起栽培を開始し、水田雑草の違いを観察しています。

実験水田の場所

周辺環境 西久保湿地の東には雑木林、西には茶畑が広がっています。

最近の実験状況

密植 2014 年7 月6 日

右側が現代の一般的な株密度、左側がその約4倍の密植区画です。

不耕起区画 2022 年7 月3 日

前年の株跡が残っています。不耕起区画では、ヘラオモダカやキクモが多くみられます。

植生調査の様子 2008 年9 月6 日

実験田の土壌中の種実と、実際の植生の比較検討がおこなわれました。

収量調査 2021 年10 月16 日

田起こしから脱穀までの作業は、早稲田大学人間科学部の学生に協力いただいています。

プラント・オパール分析の試料採取 2012 年4月13 日

水田遺跡と比較するため、表層と深掘り断面からの試料を分析。

冬期湛水 2022 年4 月16 日

冬から春にかけても、水が溜まった状態です。