Research highlights: 

Studies on dietary lipid absorption dynamics using the thoracic lymph-duct cannulation method

胸管リンパカニュレーション法を用いた食事脂質の吸収動態に関する研究

(Last update: 2023/06/24)

Column: リンパ管の発見・観察について】

 1564年、イタリアの解剖学者バルトロメオ・エウスタキオが初めてウマの胸部リンパ管を発見し、これを静脈と考えて「胸部の白い静脈」と呼びましたエウスタキオの業績は認知されず、忘れ去られていた)

 その後、1622年に(イタリア)パヴィア大学解剖学・外科学教授 ガスパロ・アセリによりリンパ管が再発見されました

 日本において、実際にヒトを解剖してリンパ管を初めて見て書かれたとされるのが「解観大意(1812年)」、胸管リンパ管の走行を確認し正確に記述したものに「解臓図賦(1822)」があります。上述は、加藤征治「リンパの科学」を参照

 栄養成分等の輸送だけでなく、がんの転移にも関わるとされるリンパ管、第二の体液循環系とも呼ばれるリンパ管は興味深い組織です

 小腸にて吸収された食品成分ならびに薬品成分が生体内の組織に運搬される経路は、吸収される物質自体が水溶性であるのか、脂溶性であるのかによって異なります(Figure 1)。

 そのため、門脈血やリンパ液の経時的な採取は、食品成分や薬品成分の吸収動態を評価する上で有効な手段になります。しかしながら、食品の機能性研究の多くにおいて、摂取させた対象物質が生体内にどれくらい吸収されるのかまでは評価されていない状況にあります。

 当研究室では、食事脂質(脂溶性物質)の吸収動態に注目して研究を展開しています。

 ボールマンケージを用いた拘束型のリンパカニュレーション法が従来用いられてきましたが、①脂溶性物質の投与がエマルション状態に限定されること(炭水化物やタンパク質など多成分混合状態での消化・吸収挙動は評価できない点)、②拘束による消化管運動の制限によりリンパ流量の変動が生じる(非生理的なリンパ液の採取となる点)、③実験動物が拘束を伴うこと(実験動物の苦痛を最小限に、あるいは排除する必要がある点)などの問題を孕んでいることから、我々は実験動物が自由に摂食・飲水でき、無麻酔・無拘束下(生理的条件に近い形)でリンパ液を採取できる手法を構築しましたFigure 2

 この手法を用いて、当研究室では食事脂質(脂溶性物質)の吸収挙動の解明を目指すとともに、それらの腸管初回通過効果の影響も把握したいと考えています。

↓ ↓これまでの研究実績等は以下の通りです。↓ ↓ ↓

研究実績

This manuscript was given "The 2022 AOCS Phospholipid Division Best Paper Award".

共同研究実績

特許

Copyright ©︎  2020– Laboratory of Nutrition Chemistry, University of Nagasaki. All Rights Reserved.