誘導の基本の形です。白杖を持たない側の手で、ひじの上を持っていただきます。
今から40年以上前の1980年(昭和55年)、視覚障がい者の外出を援助し、一人でも多くの視覚障がい者に外に出てもらいたいと誘導活動が始まりました。
その後、神奈川県視覚障害援助赤十字奉仕団(以下「視援奉」といいます。)の発足に伴い、1982年(昭和57年)からは視援奉の誘導部会として活動しています。
皆が共に生きるために目の代わりをして外出の援助をすることに取り組んだ諸先輩方の意思を受け継ぎ、安全に気持ちよく利用してもらい 無理なく楽しくできる活動をを基本に、現在も活動が続いています。
視覚障がい者は、日常生活の中で情報を得ることと外に出ること すなわち外を歩くことに、大きな不自由があります。誘導はそのうちの、外に出ることを援助する活動です。
すなわち、視覚障がい者の外出を援助することが誘導活動の基本です。
一人で歩くことに不安を感じている人はたくさんいらっしゃいます。
そこで、誘導者が目の代わりとなって、安全に目的地まで一緒に行動する活動が誘導活動です。
白杖を使って道路を確認しながら一人で外出している方を見かけたことがあるかもしれません。盲導犬と一緒に外出される方もいます。でも、より安全な外出には人の手と声による援助がとても重要です。
白杖での外出には次のようなことが言えます。
白杖
1 白杖は視覚障がい者の歩行をサポートする大切な杖であり、柱です。
2 白杖の先で路面を突いて、音や感触で障害物を探り当てて歩行します。
足元の障害物の情報は分かりますが、建物から出ている看板やトラックのバックミラーなど、からだの上半身への障害物、特に顔の周囲の情報は分かりません。
3 障がい者の外出にはさまざまな障害があります。スマホなどを活用して、一人でかなり自由に外出している方もいますし、知らない場所(自分が記憶している頭の中の地図の外)への外出は不安だという方もいます。
多くの方にとって、白杖一本で全ての情報を確認するのは、どうしても限界があるようです。
では、盲導犬とではどうでしょうか。
盲導犬
1 盲導犬は、視覚障がい者の歩行をサポートする大切なパートナーです。
2 現在、全国で活動している盲導犬は、2024年3月31日現在796頭です。
3 盲導犬は、障害物や階段や段差など危険を避けてくれますが、道順を知っているわけではないので、利用者が迷えば一緒に迷ってしまいます。ここでも白杖による外出と同じような状況が発生します。
盲導犬との外出にも避けられない限界があります。
そこで、誘導者が目の代わりとなって、安全に目的地まで一緒に行動する活動への要望が生じます。
一人で外出できる方もたくさんいらっしゃいますが、人の手と声による誘導ならば、より一層の安全と安心を確保することができます。
街で困っている様子の視覚障がい者を見かけたら、まず声をかけます。
相手の前方少し離れたところから、何かお手伝いしましょうかなどと声をかけます。気がついてくださらなかったら、声をかけるのと一緒に、肩などに軽く手を触れることもできます。
実際に視覚に障がいのあるかたを誘導するときの基本については 次のようになります。
基本の姿勢は、相手の一歩前に出て、相手に自分のひじの上を持ってもらいます。(上のイラストをご覧ください)
肩に手を載せてもらう方法もあります。どちらにするかは相手の身長との関係などで決まりますが、いずれにしても相手の希望によります。
また、右側に立って右手を持つか、左側に立って左手を持つかも、相手に決めてもらいます。一般的には、白杖を持つ手の反対の手でひじの上を持ってもらいます。
このときの注意としては、歩行には二人分の幅が必要だということです。
それを注意しないと、狭い場所で向こうから歩いてきた人の邪魔になったり、電柱などに相手をぶつけたりしてしまいます。
周囲の安全に気を配りながら、相手より一歩先を歩くのが基本ですが、相手が歩きやすいようにするのが大切です。
近年では、毎年5百件をこえる誘導活動を行なっています。
行先は、ライトセンターのほか、病院、役所や郵便局などの公的機関、買い物など、日常生活に必要な場所が多くなっています。
最近は、障がい者の社会参加も進み、コンサートや 映画や 寺めぐりや お花見や 旅行などのニーズも高くなっています。
また、視覚障がいのことや、実際の誘導の活動について皆さんに理解していただくために、さまざまな啓発活動も行なっています。
活動は個人が主体となるので、ボランティアの情報交換、交流として部会報こみちを発行しています。
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