言語剥奪症候群

社会文化的要因による神経発達障害の可能性

ワイアットCホー氏 Wyatte C. Hall, Ph.D.

レオナルドLレヴィン氏 Leonard L. Levin

メリッサLアンダーソン氏 Melissa L. Anderson, Ph.D.

ワイアット・ホール, レオナルド・レヴィン, & メリッサ・アンダーソン(2017言語剥奪症候群: 社会文化的要因による神経発達障害の可能性社会精神医学・精神疫学52, pp.761-776.

前文

ろう・難聴児や家族を取り巻く環境が類を見ない速さで,激しく変わってきています.そして,現在,人工内耳などの聴覚医学やテクノロジーの進歩によって,ろう・難聴児を取り巻く教育政策や思想が,むしろ音声言語習得に重きを置く傾向にあるのではないかという懸念もあります.そのような状況で,おざなりになりやすいのはろう・難聴の子どもたちです.ろう・難聴児にとって常にフルアクセス可能な言語環境を保障することの重要性について,皆様と一緒に改めて考えていきたいと考え,「言語剥奪」をテーマとした論文を取り上げました.この論文は、ろう・難聴者に多く見られるメンタルヘルスの症状が、乳幼少期に十分に理解し表出できる言語がない状態、つまり言語剥奪によって生じたのではないか?という仮説に基づいて、過去の文献を分析したものです。深刻な内容ですが、これからのろう・難聴の子どもたちのために目を背けてはいけないと思います。本プロジェクトが,多くのろう・難聴児やご家族や専門家の皆さまのお役に立てれば幸いです.

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※本翻訳プロジェクトは、文部科学省研究費補助金「ろう者学の知見を反映したソーシャルワーク教育に関する実証研究(研究代表者:日本社会事業大学付置研究所 高山亨太)」により実施されました。