大地震から命を守るために 

大地震から命を守るために


東京大学地震研究所の大木聖子先生の講演(平成25年1月27日防災リーダー研修会)を以下の様に要約しました。


備えていれば命は守れる
直下型大地震の代表例は阪神淡路大地震(M7.2)ですが、マグニチュード7(M7)クラスの地震はどこでも発生します。
しかしM7クラスの地震は備えていれば死ぬことはありません。
 ・家屋の耐震補強をする(特に1981年より前に着工された築30年以上の家)。
 ・家具の転倒と移動防止、物が落ちてこない対策を取る。
 ・夜の震災に備えて懐中電灯を家族全員が持ち、各々が分かりやすい場所に置いておく。
  普段も外出する際はLEDライトを持ち歩く様にしましょう。
地震が発生したら、危険なスペースから直ぐに離れます。物が落ちてこない、倒れてこない、移動してこない場所に身を移して安全を確保します。
このクラスの地震が揺れている時間は15秒程度ですから、危険なスペースは素早く判断して下さい。
15秒間を生き延びた後は、不用意に動かないで下さい。割れたガラスや落ちた物で足を怪我すると大変です。
スリッパ、スニーカーで足を防護して行動しましょう。

地域で創る防災教育
・学校教育の場では、緊急地震速報の音声を聞いて避難行動をどの様に取るかを考えて行動する訓練を行っています。埼玉県では全ての学校で実施しています。
子供がリスクを自分で考えて行動することを身につけさせ、大人になったときに躊躇なく行動できると期待しています。
・あきるの市増戸地区では小中学生を縦割りにミックスしたグループで災害発生時の対応を話し合う活動をしています。
中学生はお手本を示す役割を自然に発揮します。このグループに地域の人達が加わって地域の防災マップ作りをしています。子供が地域に目を向け、リスクを地域で共有できます。
・避難は危険を避ける行動です。家屋の倒壊、津波、洪水など、何から避難するのか理解しましょう。
・避難場所は自分が晒された危険を避ける場所です。避難場所=体育館と固定的に考えないで下さい。その時々で適切な場所は変わります。
・避難訓練は中学校区でやると効果的です。中学生に避難所での役割を考えさせ、地域を守る自覚を持たせることが期待できます。
・防災対策は結果論でしか適切だったかどうかは分かりません。それで良いのです。
より良い答えを選べるように話し合いを重ねて、その瞬間でのベターな方法を次々に選んでゆくしか方法はありません。
誰もが当たり前に出来る様に、日本人の作法としての文化を創り上げましょう。

地震に関する基礎理解
・世界で発生する地震の10%が日本列島付近で起きています。
・日本列島は4枚のプレート(ユーラシアP、北米P、太平洋P、フィリピン海P)の上に載っています。
太平洋プレートとフィリピン海プレートに他の2枚のプレートは絶えず押されています。その動きは爪が伸びる程の速さです。
・プレートが押す力で列島の地殻はシワが寄ります。これが活断層で、断層が動くのが直下型地震です。
監視されている活断層は100個程ですが、更に2,000個あると考えられています。
・首都直下地震は南関東とその周辺の海底にある断層が動くことで発生し、M7クラスの地震です。
・関東大震災(1923年)は、プレート境界面で起きたもので、M8クラスの地震です。
・マグニチュードの値が1違うと、地震のエネルギーは32倍になります。
・想定は人間が作るものです。地球の営みは全く変わっていません。