令和63月定例会 答弁要旨

上水道管の耐震適合性について 


質問>

 能美市の上水道管の総延長とその耐震適合率はどのくらいか、また、重要な管である基幹管路について、その延長及び震度6程度の大規模地震に耐えられる耐震適合率はどのくらいなのか。


答弁

 本市における上水道管の耐震適合率については、現在、総延長約440キロメートルのうち約36キロメートルが耐震化されており、耐震適合率としては8.2%です。このうち、被災すると断水が広範囲に発生し市民生活に多大な影響を及ぼすことになる基幹管路については、延長約22キロメートルのうち約9.5キロメートルが耐震化されており、耐震適合率としては43.1%です。

 なお、基幹管路に位置づけられる大口径の配水本管については耐震適合率が100%となっており、大規模地震への備えとしては、被害を最小限にとどめる観点から一定の対策ができていると考えています。


中村発言

 上水道管の耐震化について確認したところ、現在は、全国的に基幹管路の耐震化を進めている段階であり、それ以外の各家庭まで送る配水支管については、耐用年数による更新に伴い耐震化されることが一般的となっているとのことです。能美市における上水道管は、全国及び県内他市町と比べ、布設してからの経過年数が比較的短く、新しい管路が多いことから、更新時期に達していない管路の割合が高くなっており、これが耐震適合率の低い要因であるようです。



上水道管の耐震化計画について


質問>

 今後、上水道管路の耐震適合性について、整備目標をどのように設定し計画的な整備を進めていくのか。


答弁>

 本市における上水道管の耐震適合性の整備目標については、内閣官房の国土強靱化年次計画に示されている目標値に合わせ、令和10年度における基幹管路の耐震適合率を60%に設定しています。整備目標の達成に向け、根幹となる基幹管路の耐震化を優先して、毎年計画的に0.8キロメートル程度整備を進め、早期の耐震化に努めます。


中村発言>

 水道は、生活に不可欠な重要なインフラです。

 聞くところによると、耐震化の工事は、老朽化した水道管を、伸縮性があるさびにくい材質の新しい管に交換することのほか、通常使用している浄水場などからの送水がストップした場合を想定したバックアップ機能の整備をしたり、送水管の容量を大きくしたりと、一口に水道管の耐震化工事と言っても多岐にわたるそうです。よって、多額な費用がかかることが想像できます。また、工事費は利用者の料金に跳ね上がることも考えられます。経費の問題は大きいですが、財源と、優先箇所などを見極め、計画的に取り組むことを期待しています。


 

根上地区の上水道について


質問>

 今回の地震により、一時、根上地区では蛇口から汚れた水道水が出ました。また、これまでも、大雨や断水の解消後には、砂や赤さびが混じる赤水と呼ばれる状況が時々あり、気になっていましたが、根上地区の一部で見られる砂や赤さびのようなものの発生原因はどのようなところにあるのか。今後、改善に向けた対策を行う予定はあるのか。


答弁>

 この赤水については、日本水道協会水質課から「鉄は人体に吸収されることがほとんどないため、飲んだ場合でも過度な心配は必要ありません」と聞いています。赤水の発生原因については、一般的には管のさびと水質の2つの要因が考えられており、市内の上水道管につきましては、現在は全て、さびにくいダクタイル鋳鉄管や、さびることのないポリエチレン管等となっている一方、根上地区の水源としている井戸水の水質につきましては、微量の鉄分いわゆる鉄バクテリアが含まれていることから、今回の赤水は、管のさびではなく、水質の影響ではないかと考えています。この水質の影響については、水道水の中に含まれる微量の鉄分が酸素等によって水に溶けにくい鉄さびに変化して、長い年月をかけて水道管の内側に付着、蓄積し、それが地震による揺れや流速の変化等により剝がれ落ち、赤水が発生したのではないかと推測しています。

 改善に向けた対策につきましては、水道水の残留塩素濃度の調整や、水源としている井戸の見直しなど、どのような対策が有効で効果的か検討していきたいと考えています。


中村発言>

 答弁で、水道管のほうは交換ができているということで、確かに数十年前よりは、赤水と言われる状況は減ったようには思います。

 しかし、一方で、大量でなくても見えないときにも流れているのではないかと不安を感じる方もありますので、引き続き、水質管理をお願いします。



下水道マンホールの耐震化について


質問>

 重要幹線と言われる道路内のマンホールの数と耐震化工事の実施率はどのくらいだったのか、また、今後どのように耐震化を進めていくのか。


答弁>

 本市における下水道マンホールの耐震化については、現在、重要幹線にあるマンホールの総数379か所のうち162か所が耐震化されており、耐震化率としては42.7%です。

 整備目標については、令和11年度における耐震化率を60%に設定しており、その達成に向け、重要幹線にあるマンホールの耐震化を優先して、毎年、計画的に10か所程度整備を進め、早期の耐震化に努めます。


中村発言>

 今回の地震により、奥能登方面では、液状化が原因でマンホールが路上に突き出る現象が起き、マンホールが浮き上がった際に、マンホールと地下でつながっている下水道管も引っ張られて破損したとのことで、いまだ下水道の全面復旧の時期は未定だとのことです。一方、能美市では、マンホールの浮き上がりはほとんどありませんでしたが、下水道管は被害があったと聞いています。

 能美市ではこれまで、緊急輸送道路など重要幹線のマンホールについて、浮き上がり対策や管渠とマンホールの継ぎ手部分の耐震化工事を行っているとのことですが、今後下水道についても、財源の確保、優先順位を見極め、効率よく耐震化を進めていただきたいと思います。



能美市水道事業経営戦略等の見直しについて


質問>

 上下水道とも平成30年度に10年間の経営戦略を策定しており、令和5年度は両戦略とも中間見直しを行うこととなっています。しかし、年度も終盤となった1月にこのような大きな地震に見舞われました。

 令和6年能登半島地震を受け、今年度予定の能美市水道事業経営戦略及び能美市公共下水道事業経営戦略の中間見直しについてどのように対応するか。


答弁>

 現在、東日本大震災や令和6年能登半島地震のような大規模地震が発生した場合においても被害を最小限にとどめるため、計画的な耐震化を見込んで見直しを進めているところであり、今月中にはその将来推計や投資・財政計画等をホームページで公表したいと考えています。


中村発言>

 既に的確な現状把握、分析等を行った上で中間見直しは進んでいるとのことですが、引き続き、上水道や下水道という市民生活に必要不可欠な重要なライフラインの確保にご尽力をお願いいたします。



能美市備蓄計画の見直しについて


質問>

 令和6年能登半島地震の教訓を十分に踏まえた上で能美市備蓄計画の見直しを行うべきと思いますが、見直しの進捗状況と今後の予定についてどのように考えているのか。


答弁>

 現行の能美市備蓄計画は平成29年度に策定したもので、石川県地震被害想定調査を基に、地震により半壊以上となる家屋及び火災により焼失する家屋を1,630棟、被災者数を4,200人と見込み、食料等について、災害発生から3日間分を目標数量として計画的に整備するという内容となっています。

 今年度、見直しを行っている最中にこのたびの地震が発生しました。今回の地震において、備蓄物資が一度に大量に必要となることや、物資の保管場所や運搬するマンパワーの課題も見え、また、備蓄品の効率的な管理と安定供給については、特に大規模災害発災直後の混乱期においては市単独の対応は困難を極めることから、民間企業との災害支援協定や自治体との相互応援協定による受援体制を日頃から整えておくことが必要であると考えています。

 今後は、これまでに行った見直し調査や今回の能登半島地震の教訓も十分加味しました新たな備蓄計画を完成させ、新年度の備蓄品購入に反映したいと考えています。また、令和7年度に県が公表を予定しています新たな地震被害想定にも今後注視し検証を続けてまいりたい。


中村発言>

 9月議会で備蓄計画について質問し、市から見直しを進めているとの答弁があったところに、今回の地震が発生しました。見直し作業は進んでいたとのことですが、今回の能登半島地震を踏まえ、新たに見えてきた課題も多いのではないかと思います。引き続きの検証をお願いしたいと思います。

 災害はいつ何どきどこで発生するか分かりませんし、相当な備えをしていても完璧とはならないようです。しかし、事前の備えを怠りなく、今考えられる中ででき得ることを着実に行っていきたいと思います。