令和4年12月定例会 答弁要旨

能美根上駅と駅周辺の活性化について


質問>思いのほか早く、去る9月1日をもって無人化になったが、9月以降、これまで市が危惧していたような状況にはないか、またJR西日本や利用者からどのような声が上がっているのか、現状についてどのように把握しているのか。


答弁>無人駅となった初日の通勤時間帯に市職員が改札口の状況を確認したが、事前に告知されていたこともあり、利用者に戸惑いは見られなかった。また、これまでに市には、無人化による苦情等の声は届いていない。JR西日本金沢支社にもそういった声は届いていないとのことであるが、無人化前に、特急券が購入できる券売機の整備をしてほしい旨の意見が数件あったと聞いている。

 現在は、駅員と対面での問合せはできないが、窓口のインターホンで小松駅の駅員と話すことができるようになっている。また、車椅子利用者や高齢者等への支援についても、事前にサポートダイヤル等で依頼を行えば小松駅から係員を派遣することとなっており、これまでに大きなトラブルは生じていないものと受け止めている。

 市民対象のアンケートには駅の無人化に対する考え方や不安に感じる点、利用促進策について設問を設けており、この集計結果を通して、無人駅の課題や市民の意向を把握したいと考えている。


中村発言

 今後、北陸新幹線の県内全線開業により、JRから金沢以西の路線について、その経営主体がIRいしかわ鉄道に引き継がれることになるが、市においても県や近隣市町、経済団体と連携し、並行在来線の利用促進、安全性の確保を図っていただきたい。また、能美根上駅については、常々言われている能美のよいところ、能美のお人柄が感じられる、そんな駅として存続していってほしい。


質問>能美根上駅は、大正元年に寺井駅として誕生し、2015年3月に能美根上駅に改称され、この12月20日には駅誕生110周年を迎える。その記念事業の概要について問う。


答弁>能美根上駅が開業110周年を迎えるに当たり、長い歴史の歩みに感謝しつつ、今後の能美根上駅の利用促進や地域活性化に向けてシンポジウムを開催し、その機運を高めたい。シンポジウム終了後には、駅開業110周年を記念し、能美根上駅に新たに設置する電子掲示板のお披露目式を開催する。タッチパネル方式で観光や土産品等の情報検索ができ、気象や災害等の緊急情報なども発信することができる。今後、電子掲示板を有効活用し、駅の利便性を高められるように努める。


質問>駅の利活用、それにつながる駅周辺の活性化について様々な調査を行っているが、これら各種調査の結果をいつ頃、どのような形で公表され、また、それを踏まえて今後の取組にどのように反映させるのか。


答弁>市では、さらなる駅利用促進策の検討に向けて、広く意見を収集するために様々な対象者にアンケート調査を実施するとともに、能美根上駅と類似した駅の事例収集を進めております。アンケート調査は、市民2,000人、鉄道利用者1,000人、市内企業100社などに行っており、調査結果の分析と全国の事例を参考にしながら、今年度中に施策の方向性を取りまとめる計画としている。また、地域課題の解決に取り組む東京大学のフィールドスタディ型政策協働プログラムの一環として、学生4名が能美根上駅のにぎわいづくりを探るために先進地事例の調査を進めているほか、9月には市内に滞在し、本市の特性や公共交通の現状把握、寺井高校生や地元関係者との意見交換を行っている。駅の活用策を若者の視点で取りまとめ、今年度末までに提案をしていただくこととなっている。

 全ての調査結果がまとまる来春をめどに市ホームページ等で公表するとともに、関係者との意見交換の場を設け、調査結果やシンポジウムでの意見を踏まえながら駅周辺の観光資源の活用や集客イベント等の具体策を検討し、実証実験等に取り組んでいきたい。


中村発言

 是非、調査結果を踏まえ、若い人の発想や市民の声に耳を傾け、活力ある能美根上駅、人と人とが行き交うまちづくりにつながることを期待します。童謡「線路は続くよどこまでも」にあるように、「はるかな まちまで」のフレーズのように、駅は国内だけでなく世界とつながることができるツールであると信じています。



共生社会の実現にむけて


質問>第四次能美市地域福祉計画で、「みんなで築く福祉の輪」として「地域の支え合いで、あたたかい地域共生社会の形成を目指して」を掲げ、重点目標として重層的支援体制整備事業の取組を進めるとなっているが、どのように取り組んでいくのか。


答弁>庁内の連携体制については、副市長をチーム長とする地域共生社会推進事業横糸プロジェクトチームを位置づけ、重層的支援体制整備について、健康福祉、教育、町会・町内会、SDGs等を担当する部局が横断的に連携し、包括的な相談支援体制や、市民力、地域力による互助活動の推進、様々な分野、属性がつながり合う地域の拠点づくりについて定期的に協議し、体制づくりを進めている。また、市民の横糸として地域包括支援体制推進協議体を設置し、市民、関係機関、行政等が一体となり、地域共生社会の推進を目指し取り組んでいる。各分野のはざまを解消するため、あんしん相談センターを総合的な相談窓口として、また、複合的な課題を抱える世帯に対し、各分野の支援関係者が一同に会し課題解決をワンストップで行う支援チーム会議を行っている。

 地域の支援関係者のご理解とご協力の下、関係機関が重層的につながり合い、セーフティネットワークを強化し、誰一人取り残さない包括的な支援により、誰もが生きがいを持つことができる地域づくりを進める。


中村発言

 重層的支援体制整備事業が進みますと、市民にとっては非常に利便性が高い行政サービスにつながると思う。ぜひ全庁挙げて取り組んでいただきたい。


質問>教育現場での、「共生社会」についての指導や、障がいの壁がなく、全ての子供たちが共に学べることを目指して、どのような取り組みを行っているのか。


答弁>共生社会の実現に向けて、個人の価値を尊重する態度や自他の敬愛、協力を重んずる態度の育成、国際理解教育の推進が重要と捉えている。その上で、全ての人に優しい学校、魅力ある学校づくりに向けて、道徳教育、人権教育、特別支援教育について、その充実に努めている。

 また、通常学級においては、支援が必要な児童生徒について、本人や保護者の願い、支援目標などを盛り込んだ明確な支援計画に基づいて指導を行っている。さらに、昨年度能美市で配置した31名の特別支援教育支援員についても、今年度は42名に増員し、一人一人の教育的ニーズに応じて適切な支援ができる学校体制づくりや環境整備を図っている。

 通常の学級に籍を置きながら、週に数回の自立活動の授業を行う通級指導教室については、今年度、新たに3校で開設し、市内では合わせて11の教室が開設され、子供の発達特性に応じた学習が行われている。

 特別支援学級については、市内には、知的障害学級や自閉症・情緒障害学級に加え、肢体不自由学級や難聴学級が28学級開設され、それぞれの障害の状態や教育的なニーズに応じた指導を行い、普通学級との交流教育も行っている。その中で、医療的ケアが必要な児童生徒について、医療的ケア児やその保護者が安心し能美市の学校に就学できる、そして通い続けることができるように、ソフト面では、保護者の付添い負担の軽減や医療的ケアに係る備品についての予算確保などの体制づくりに努めている。

 ハード面では、必要な施設改修やトイレの洋式化の推進など学習環境の整備を進めており、さらに、階段昇降に支障がある児童生徒への対応として、車椅子のまま階段の移動ができる昇降車の整備を進め、本定例会において1台の増設に要する予算を計上することなど、共に学び、共に学校生活が送れる環境づくりを進めている。


中村発言

 今年度、教育福祉常任委員会協議会では、共生社会の実現をテーマに協議しており、その一環として、先般、共生社会の実現に向けた先進的な取組を行っている他県の市への行政視察を行った。その中で、能美市が目指す温かい地域共生社会の形成には、今回質問した、福祉や教育などの行政の取組のほか、市民、また地域、企業等にも様々な役割があり、おのおのがその責務等をしっかりと認識することが大切であると感じた。同時に、共生社会についての理解を深める啓発の取組も重要であると感じた。視察での学びを、能美市でも活かしていきたい。