フキは大きなあくびをしながら、縁側で寝そべっている。
日がな一日こうして寝ているのを里の住人が見て、咎めたりはしないのはその容姿が恐ろしいからだ。
ただ、彼自身も退屈をしていた。寝ることも嫌いではないのだけれど、体中がなまりきっている。
そんな折に、社の入り口の方やらなにやら楽しい掛け合いが聞こえてきて、好奇心でフキは起き上がった。
「どうした?」
社の入り口では狗と猫が言い争っている。
どう見ても猫の方が引いていて、狗に絡まれているように見えた。
猫はこちらを見つけると、話の途中でこちらに駆け寄ってきた。
「フキ―、狗がいじめるにゃ」
「おうおう、久しぶりだなぁネコ。狗よ、だめじゃないか? よしよししてやるから来い」
「へっ、裏切り者が…!しゃしゃり出てくるんじゃねえよ」
取り付く島のない狗の言葉にフキは首を振る。
この犬はこのあたりを荒らしまわっていた妖怪だったが、フキがそれを抑え込んだ。
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