私がどうハイランドネペンテス設備を導入し、そして現在に至ったかの記録です。
この記事は低地性ネペンである程度の栽培経験がある方に向けて書きます。ネペン栽培の基礎から書こうとしていましたがあまりに散漫かつ自分の環境が限定的であるため参考にもならないと思ったからです。
ネペン栽培を経験した方にありがちな悩みで、「あの人の栽培環境と数字では一緒なのにうまいこといかない」みたいなことはよくあると思いますが、この記事についても同じで、書いてあることを真似しても上手くいくか行かないかは様々です。
低地性ネペンやってる方は水槽に水を張って暖める加温方法を1度は聞いたことあると思います。
その仕組みを応用して、鑑賞魚用のクーラーで水を冷やしてみた、というまぁ広く知られた方法です。
冬はそのまま水を温めることでヒーターにもなります。
ただ、この時点で低地性ネペン水槽管理で問題視していた「過加湿」「通気性の悪さ」「栽培面積の小ささ」については相当意識していました。
ここで少しだけ低地性ネペンの水槽管理について話をすると、水を温めることで温室内に結露が発生するような環境ですと、基本的にネペンには良くありません。「暖まった鉢と空気の温度差で、鉢の中に結露が発生する」(おそらく)ことが大きなポイントだと思っています。(この時点では気づいていません)
以降この問題点を一つずつ潰していくこととします。
とにかく水を温めればムシムシになります。とにかく問題は湿度だと思ったので、空気を循環させるのではなく、空気を通す(=通気)イメージで栽培していく事としました。
最初は空気を吹き込むイメージでファンを設置しましたが、風が当たる植物が上手くいかなかったので、風を吐き出す方向にシフトしていきました。
端的に言うと温室の空気穴の上にUSBファンを置いて空気を吐き出せば一番上手い具合になることがわかりました。(試行錯誤はしましたが)
しかしこのことで問題点が次から次へと湧き出てきました。
①思ったより冷えない
・そもそも水槽クーラーの廃熱が馬鹿にならない
・太陽光に当てているのですごく熱くなる
②そもそも通気性改善しきれていない
③冬場は水が減るし、夏場は水が増える(結露や蒸発)
④水槽の蓋落としやすすぎ
ぶっちゃけこの時点で全ての問題点を解決できる気がしなかったので全く別のシステムを組むことも考えましたが、無駄なお金使ったと思いたくないですし、今ある機材を発展させていくことにしました。
この温室は運用中、現在の姿です。
水槽の上に水槽を重ねることで広いスペースを産みだして、温もった空気を右上部の穴から排気することで解決しようとしました。
画像のパーツはオーダーメイドアクリルショップ「はざいや」 さんで作成しました。
水槽との合体はジュン (JUN) かさねらレールで行いました。
この時点では未完成ですが、根を効率的に冷やせるので、温室内の気温で想像するより高い標高のハイランドネペンも育てられます。
また、直接上にLEDも置くことができます。
結局のところ水槽クーラーの廃熱だけはなんともならかったのでエアコンに頼らざるを得なくなりました。(この時点では根回りが冷えている事で高気温にある程度耐えられる事に気づいていない)
寝室での栽培なので、人が心地良い範囲で温度調整をすることにしました、水槽クーラーとLEDの廃熱で低地性ネペンが暖まり、一部屋で容易に高地性ネペンと両方育てられる環境になりました。
また、ハイランド水槽の水温は冷やすことのみで行うこととしました。ここで根を冷やすことや、暖めることの影響に気づくことになります。
気温についてはこの時点で完全に解決していましたが、別のアプローチで冷やせることに気づいたため、ミストシステムを導入しました。
ハイランドネペンは葉や根の水分に強いと仮定して、ミストを噴射して葉を濡らす→換気で気化熱で冷える
濡らした葉は換気のため比較的すぐ乾く、気化熱は上部から排気、地面はクーラーで冷えているというイメージです。
実験中ではありますが、水やりまでミストシステムが代わりにしてくれるので大分管理が楽になります。ただし、産地や品種によって適性が異なることに注意するべきなどより観察力を求められるでしょう。
ぶっちゃけて言うとエアコンだけでハイランドネペンテスは育てられます。
しかし、そこに至るまでの道なりは人それぞれであってほしいとの考えから、栽培遍歴をまとめました。
かなり省略可して記事にしていますので、この通りのシステムを導入するのはこの文章のみでは不可能だと思います。
個人的な思いとしては、結局エアコンという結論に至るとしても、試行錯誤してネペン栽培をしてみて欲しいです。
ネペン栽培がコレクションであるならば、苗を買っておしまいです。栽培を試行錯誤すると育成そのものが楽しくなると思います。