1979年7月1日 シングル『銀河鉄道999』発売
4月1日の『ビューティフルネーム』以降、
5月1日にタケのソロで『ハピネス』(演奏ゴダイゴ)、
6月1日に『はるかな旅へ』(4thアルバム"OUR DECADE"先行シングル)
と、4か月連続のシングル発売となっています。
西遊記でアジアを旅し、ビューティフルネームで子供たちと世界を旅し、この曲では宇宙に出てしまいました。なんてファンタジックなんでしょうか。
ゴダイゴにはまさに、「旅」のイメージがありました。
1979年8月4日公開の映画「銀河鉄道999」は、少年が夢に向かって宇宙へ旅をする物語です。映画を観る前、物語への期待に胸を膨らませながら聴いたこの曲が、映画を観終わった後、印象が一変します。
映画自体は、確かに少年の日の旅の終わりを告げて幕を閉じます。ところがそこに、そのセンチメンタルを打ち破るようにこの歌のイントロが流れる。ここからまた車輪が動き出すかのように、明るい疾走感に満ちたサウンド。そしてタケの歌声が耳に入ってくる。「さあ行くんだ、その顔を上げて!」そうだ、旅を終えた少年は、青年になってゆくんだ。そしてここからは、観終わった人たちそれぞれのドラマのために、この歌が響いていく。
このことは、奈良橋陽子さんの書かれた英語詞の段階でそうでした。しかし、日本語の訳詞を担当された山川啓介さんによって更なるバージョンアップが施され、映画を観る前はまだ見ぬストーリーへのわくわくを、観終わった後は一つの旅を終えた主人公のこれからと、観終わった自分自身のこれからを思いながら、この歌を聴くことができるものに昇華されています。
こんなことはなかなかできません。
同じ曲でも、映画の始まりと終わりで別の意味をもって聴くことができるという、これは、「キタキツネ物語」サウンドトラックで、アルバムの最初と最後に主題歌『赤い狩人』を全く同じバージョンで入れておきながら、A面最初では主人公の歌、B面ラストでは育った主人公の子供の新たな物語の始まりの歌として聴かせている、あの手法に通ずるものがあると思っています。
♪
シングルは、AB面とも日本語で歌われています。
内容は大人びているとは言え、基本的には子供も見るアニメ映画の主題歌なので(とはいえ私には、本当の意味でこの映画の内容が理解できたのは、小学生だった公開当時よりは中学生になってからのテレビ放映を見た時だったと思います)、両面日本語で歌われたことはまさにこの時子供だった自分には嬉しかったし、そこに、適度に入っている英語の響きが、大人への始まりのようなワクワク感を演出してくれてもいて、何度聴き返したか分からないくらいターンテーブルに乗せて楽しんでいました。
針を落とし、ノイズの間に蓋を閉め、定位置に戻り、スピーカーがイントロの空気を揺らすあの瞬間を待つのがたまらない。今でもこの動作をすると、一瞬にしてあの頃の感覚が呼び戻されます。
♪
今回はサビがまるごと英語でした。
ゴダイゴの曲は、日本語詞の曲でもけっこうサビの大事なところで英語を使っています。「サビは日本語だけど、ほかのところで部分的に英語を使っている」というわけではないのが、ゴダイゴ的なんだろうと思います。
しかし今回は、それほど分かりやすいニュアンスの英文でもない。"They say ity was in India"や、"Every child has a beautiful name"なんかとはわけが違う。A面は尺が長いし、B面も、"to the unkown"と詩的な表現を使っています。
さらにA面、"The Galaxy Express 999"が言いにくい。
とはいえこれをそのまま「銀河鉄道」とか、「スリーナイン」と日本語に直すのでは、映画の広がりを損ねてしまいかねない。
このサビの部分をそのまま英語で全て残したこと、"The Galaxy Express 999"もそのまま残したことは、もしかしたら冒険だったかもしれません。
で、最後の1行、"A journey to the stars"が一番日本人的には分かりやすい一文ということになります。この歌は"Journey"なんだと。宇宙への「旅」なんだと。そしてそれは"never ending"なんだと。終わりのない旅へ"take you on "連れていく。
(対するB面のタイトルが"Takin' Off!"で、"take on"と"take off"とのAB面というのもなかなか面白いです。)
この"journey"という語をサビで3回繰り返していて、これが効果的なことは、ガンダーラやモンキーマジック、ビューティフルネームで、そのタイトルをサビで何度も繰り返しているのと同じ効果になっていると思います。タイトル自体は言いにくいけど、キーワードである"journey"が繰り返されることでこの歌が旅をイメージする歌であると印象付けています。
しかもサビ以外の、ロマンを語る部分の日本語詞は直接脳に入ってくるので、歌の内容的に「銀河鉄道」かどうかはある意味関係なく聴くこともできます。ここもこの曲のマジックなところ。確かに999の歌なんだけど、鉄道とかアニメとか関係なく聴くこともできる。
もちろん映画を観れば確実にラストにこの曲が流れることは重要だと思える。
シングルとしてもヒットしましたし、999関連でもいろいろなレコードが出ました。彼らのベスト盤にもほぼ毎回リストに入っていますし、後年、アニメ系のシリーズもの8cmCDが出たときにも、サイボーグ009の映画版主題歌とのカップリングでカタログに入りました(ゴダイゴと町田義人さんの組み合わせというのもなかなか良い。)。最近では英語版によるAB面のシングルや、シンミックスによるシングルなど、さまざまに姿を変えても発売されています。
いろいろな意味での「旅」そのものに導いてくれる、ゴダイゴの代表曲です。