香夜―きょうや 

かつてイギリス魔導院に所属し、組織を改革した天才。

・登場 「魔法使いと吸血鬼

・所属 「イギリス魔導院(第XIII階位)」→現在は脱退

・本質 「浸食」

・特技 煙草の銘柄当て

倉井戸蒼青咲巴魔術の師匠。近畿で発生する怪異事件の鎮圧を仕事にしているが、頻繁に案件があるわけでもないので、普段はフリーランスのデザイナーとして働いている。主に本の装丁を請け負っており、東条ムラサキ作品のほとんどは彼が装丁を担当している。著者本人と深い縁があるために成立している仕事ではあるものの、デザインの技術は相当のもので、出版社や読者からの反応も良い。

当初はタブー視されていた「科学複合型魔術」を扱う。内容としては機械に手を加えて魔術道具として利用するというもの。香夜は拳銃に細工し、特殊な弾丸を発射できる物へ改造したりしている。

【イギリス魔導院を変えた男】

長きに渡り魔術を伝えてきたイギリス魔導院。その組織は、世界各地から魔術師が集う世界最大規模を誇る。

彼はその魔導院の中で、大きな騒乱を起こし、新たな長を決め、組織を去ったという。

それ以降、魔導院の変化は激しく、当初は反発する者も多かったが次第に軌道に乗り、今ではちょっとした伝説になっている。

そんな彼も今ではこんな辺境に。そう思う仲間も多い様子。

【謎多き彼の計画】

禁忌指定とは世界を変える可能性を秘めた危険な代物。その対象である「偽吸血鬼」を使って何かを成さんとしている。

その内容を知っている仲間もいるようで、意見は様々。やめたほうがいいと言う者や、くだらないと見守る者も。どちらにせよ危険な事をしようとしている事に変わりない。

【愛車・シルビアS15】

本人曰く、カッコイイから買ったらしい。使用年数は十年を超えており、走行距離もそれなり。

この車種はMT車も存在するが、彼の車はオートマチックである。

売却するつもりもないため、喫煙車だが、ヤニなどで汚れている部分は目立たない。定期的に手入れはしている模様。

【過去】(以下ネタバレ)

倉井戸姓を名乗っているが、それは偽名にあたる。

本名は九条香夜。かつて魔導院で、特位魔術師だった一族の出身であり本来であれば由緒正しき身分である。

純粋な日本人ではあるものの、生まれは英国となる。

彼が幼い頃に起きた、特位魔術師暗殺事件により両親は他界。

行き場を失った香夜は、親戚を頼りに日本へと辿り着く。

両親が死んだところで何の調査も為されない。当然のように警察も介入してこない。居場所を失った香夜は幼いながらも、魔導院の運営方法に強い憎しみを覚えていた。


数年を日本で過ごした香夜は、身分を隠して魔導院へ向かうことを決意する。その時に使用した偽名というのが倉井戸であり、英国に流れる河川の一つである、クライド川に適当に漢字を当てたものになる。


魔導院で同じように複雑な事情を抱えたアーリンス・モンタールと出会い、意気投合。数年後、魔導院改革内乱という名の大きな騒乱を引き起こすこととなる。

【魔導院改革内乱終決後】

生きる意味を失ったように欧州各地を放浪。やがて大きな疫病を患って、ルーマニアのとある教会に匿われる。そこで出会った女性と一年ほど平穏な日常を送ったが、失踪した香夜を追ってきたアーリンスと再会。一時は魔術と無縁の生活を送る決心をしたものの、再びこちら側の世界へと足を踏み入れることとなる。


その後は、十代の頃に生活をしていた関西に舞い戻り、魔術師として生活を続けていた。

日本から密かに、魔導院の運営に関して口出ししていた模様。

【赤石世界樹顕現事案終了後】

アーリンスの頼みで極秘裏にルーマニアへと移送される。その際、記憶のほとんどを失うことになった。

極秘……とはいえ、魔導院には情報が筒抜けだったらしく、一部の特位魔術師とあれやこれやとやりとりをして、最終的に螺旋巴を魔導院へ招集。彼の口から事件の内容を語らせることで倉井戸香夜の生死は不問となった。世界崩壊すんでの危機にもかかわらず魔導院が、香夜の身柄について前代未聞の判断を下したのは、過去の魔導院改革内乱で香夜に多くの人望があったため。


【記憶を消したはずが……】

アーリンス・モンタールが香夜に忘却の魔術の使ったことで、彼は魔術師として再起不能になったと思われていた……が、しかし。

どんな手段を使ったのか、一ヶ月も経過しないうちに復活。スピラの魔術師編では途中から螺旋巴と行動を共にする。

以前のようなアルケー計画を再始動させるとか、そういった野望はもうない様子。

というか、疲れて燃え尽きた雰囲気だった。

相変わらずヘラヘラとしているものの、色々と諦めはついたようで、自分が変えようとしたところで変わらない世界に飽きた。


前述のスピラの魔術師編では、それでも「自分のやったことは自分で片付けるべきだ」という考えから危険を承知で英国に姿を現した。「いつか自分に火の粉が飛んできそう」というのもあるが……。


螺旋巴セクタヴィア・ソーンに誘拐された際は、螺線久遠とも接触している。

筋力・★★☆☆ 魔力・★★★★☆ 魔力出力・★★★☆☆ 耐久・★★★☆☆ 特殊・★★★★★ 

総合評価・★★★★☆

洞察力が高い。常に本音では語らず、ずっと笑顔。しかし、新人類である東条紫苑に対しては、結構腹の内を明かしていたりする。酒が飲めない代わりにヘビースモーカーで、禁煙すると元気がなくなる。

【疑似・新世界創世(ハローワールド)】

亜空間に自身の世界を創り出すというもの。そこではあらゆる法則が通用せず、術者の本質や理想を具現化する。香夜が創造した世界の場合、今まで殺してきた人間のスキルが全て再現可能になる、墓場のような形だった。

魔術の特性上、発動には莫大な魔力が要求される。作中では他者の魔力を奪うことで短期間に二度の発動を可能にした。

この魔術には不明瞭な点が多く、香夜自身もその全てを把握できていない。魔術とは本来、旧血種が起源となるものだが、この魔術は全く別のルーツを持つのではないかと星影総悟が考察したとかしていないとか。

【魔術鎧装】

解体殺人編にて明かされた彼の魔術の一つ。というか海上寺央座の技をパクったもの。魔力で編んだ鎧を生成し、防御と攻撃に使用する汎用性の高いもの。海上寺央座の得意とするこれを模倣して会得した。

鎧のパーツを分解し、編み直すことで武器としても使用しており、劇中では槍へと変化させ、殺人犯の動きを止めた。

尚、魔術鎧装の見た目は使用者の価値観によって様々な見た目に変化するという。


【正体不明のトランク】

開ければ中にはドス黒い怪物がいる。影のようなそれは、トランクを開けば顕現し、敵と見なした者をとことん追いかけ回し、捕食する。得体のしれないものが入っているのにもかかわらず、物品や人体の保管も可能で、作中では西浄断彩を数ヶ月閉じ込めていた。

疑似・新世界創生の技術を応用したものと思われる。

赤石世界樹顕現事案発生後、幻影により処分されたが、スピラの魔術師編では再度作り直したものが登場。


【代理詠唱機関オルフェウス】

自分の発動する魔術の詠唱を肩代わりするという代物。詠唱に時間を要する大魔術などを簡単に発動することができてしまう。まだ試作段階のもので、年季の入ったブックシェルフスピーカーを改造したもの。発動時は術者の魔力に反応し、スピーカーの周囲に魔法陣、刻印が生じる。


【その他能力】

・基礎魔術(上)

・科学複合型魔術(上)

・肉体強化魔術(中)

・肉体治療魔術(中)

・怪異知識 日本(上)

・怪異知識 海外(中)

・精神干渉無効(中)

作品登場人物からの一言。

東条紫苑・「このヘビースモーカーが!」

倉井戸蒼・「そこに、シルバーのスポーツカーがあるでしょう?」

青咲巴・「それ香夜の車だよ。お前知ってるだろ」