研究内容
植物の葉緑体ってどうなの?ってことを研究しています。
スーパーに大根やネギ、ホウレンソウなどがところ狭しと並んでいます。ふと疑問に思いませんか?大根やネギの白いところは、どうしてホウレンソウみたいに緑色にならないのだろうと。白い部分の細胞では葉緑体が発達しないからなのですが、それがどうやって決まっているのか、実は未だによく分かっていません。この疑問に答えるべく、植物細胞の発達と色素体分化の間に潜む秘密の関係を解明したいと思っています(詳細)
葉緑体をもっとも特徴付けているのは、内部に発達するチラコイド膜の存在です。そして、チラコイド膜は脂質二重層でその土台が作られています。つまり、脂質が葉緑体の命運を握っていると言っても過言ではありません。そのうえ、光合成反応そのものにも不可欠なのです。脂質について深く理解できれば、葉緑体にまつわる数多くの謎を解くことができるはずです…(詳細)
葉緑体といえば、緑色、そうクロロフィルです。クロロフィルは光エネルギーを光合成反応に伝える重要な役割を担っていますが、同時に、過剰な光エネルギーによるダメージを細胞に与える特性も内包しています。そのため、必要なときに作り、不必要なときには作らない、または壊すことが必要です。発達過程や環境に応じてクロロフィル分子の量を調節する仕組みを研究しています。(詳細)
シアノバクテリア(Cyanobacteria)は、植物と同じように、水を分解して酸素を発生する「酸素発生型」の光合成を行います。別名:ラン藻とも呼ばれますが、英語名にある通り、原核生物であるバクテリアの1系統です。光合成の基本的な仕組みが植物と非常に似ており、植物の葉緑体の起源に深くかかわると考えられています。葉緑体を知りたいのならそのルーツのカギを握るシアノバクテリアのことも知る必要がる、ということで、シアノバクテリアの研究も行っています。(詳細)
これまでのプレスリリース、研究紹介記事、等
末次健司、田野井慶太朗、小林康一ら「葉が退化したラン科植物「クモラン」の根は、葉の代わりをしていた」神戸大学・東京大学・大阪府立大学プレスリリース,2023年2月
小林康一・佐藤直樹「高校生物で”葉緑体の外包膜の起源”をどう教えるか」生物の科学 遺伝 2023年1月発行号 Vol.77 No.1, 10-17 特別寄稿→記事はこちらから読めます
吉原晶子、小林康一「研究発表:光合成と細胞増殖が窒素を欠乏したラン藻の光捕集アンテナの分解量を決める 」2021年12月
藤井祥、和田元、小林康一「モヤシは糖脂質で精巧な「ジャングルジム」を細胞内小器官の内部に作る 」東京大学・大阪府立大学プレスリリース,2018年8月
小林康一「緑の地球を支える糖脂質」グリーンエージ2018年5月号
小林康一「植物が緑化する仕組み」グリーンエージ 2018年3月号
藤井祥、小林康一「モヤシは将来の光合成に備え、まず糖脂質を作る」東京大学プレスリリース(PDF直リンク),2017年6月
小林康一、岩瀬哲「地上部(葉と茎)を無くしたら根で光合成をすればいい?」東京大学・理化学研究所プレスリリース,2017年3月
小林康一「植物が緑になるか否かはどう決まる? – 根で葉緑体の発達をコントロールするしくみ-」Academist Journal, 2017年3月
小林康一「葉がなければ根で光合成?-色から読み解く植物の多様性-」東京大学教養学部報,第577号,2015年10月
小林康一「発芽初期の膜合成が葉緑体の運命を左右する ―脂質合成の人工制御が解き明かす葉緑体の分化制御―」東京大学プレスリリース,2014年10月
小林康一「(時に沿って)大人と子供と研究者」東京大学教養学部報,第549号,2012年7月
「シロイヌナズナの根が緑色にならない理由を分子レベルで解明!」Nature Japan Jobs特集記事,2012年5月(サイエンスライター西村尚子さんによる記事)
小林康一、増田建「白い根を緑に―根で葉緑体の分化を調整する仕組みを解明―」東京大学プレスリリース,2012年3月