本編準拠

ありあまるほどの

「幸せだ」とりんさんは言った。

溢れるほどの水があって、姉妹が笑顔で暮らしている。

見るもの全てが新鮮で、いくら探しても飽きることはない。

一つ一つ指折り数えた後、僕を見る。

「何より、わかばが隣にいる。だから私はとても、幸せだ」

その柔らかい笑顔を見て、ああ、僕も幸せだとしみじみ思った。


星が落ちてくるような

きらきら光る流れ星を眺めていたら、それが急に方向を変えて僕の腕の中に落ちてきたみたいだった。

それぐらい、腕の中のりんさんの顔はキラキラしている。

嬉しさやドキドキで、僕はひどく落ち着かない。

けれど、幸福感に満たされているから、きっと僕も同じようにキラキラした顔になっているんだろう。


隣に違和感、視界に不具合

あいつが隣にいると、私はおかしくなってしまう。

胸元はドキドキするし、視界が眩しく曇る。

これは毒に違いない。

けれど、視界に入らないとそれはそれでまた変なことをしていないか、なんて気になってしまう。

だから処理もできず、無視もできず、いざ視界に入れると毒に冒される。

…どうしたものか。


日頃の行い

お題:君だけが好きだって、君だけが信じてくれない

りんさんだけが好きだって、あの人だけが信じてくれない。

原因は僕にある。わかってはいる。

ケムリクサに没頭する性質だから「お前が好きなのはケムリクサだろう?」なんて言われてしまう。

とうとうケムリクサだから好きという誤解まで…。

そうじゃないと理解してもらうには、どうすればいいんだろう。


勘違いもここまでくれば犯罪だよね

わかばは、私だけが好きだと言う。

私の「好き」はわかばだけど、わかばの「好き」はケムリクサだろう。

いつも見ているからわかる。

もしかして、私の葉が好きということだろうか。

そんなこと言わなくても、わかばになら許すのに。

わかばの触れる手が優しいから、そう考えていないと勘違いしそうになる。


勘違いもここまでくれば犯罪だよニャ(ナ)

わかばは、私だけが好きだと言う。

私の「好き」はわかばだけど、わかばの「好き」はケムリクサだろう。

私が葉を持ってるから好きということだろうか。

そんなこと言わなくても、わかばなら触れていいのに。

「…ねぇね、どうやったら気づくのナ?」

「さすがにわかば君が可哀想になってくるにゃあ…」