蛍光タンパク質には性能があります。同じ色の蛍光を出すものでも、それぞれの蛍光タンパク質で明るさが違います。蛍光タンパク質を開発する人は、蛍光タンパク質の遺伝子に突然変異を起こさせ、より明るいものを選びます。人工的に進化を起こさせるわけです。そのため、有望な蛍光タンパク質はしばしばバージョンアップされます。
明るさの他にも様々な評価基準があります。たとえば、ずっと観察しても色褪せない(褪色しない)ことは重要な評価基準です。ほかにも、細胞の中で合成された後で光り始めるまでの時間(maturation time)、細胞の中で互いにくっついて沈殿を起こしにくい、などの評価基準があります。公表されている蛍光タンパク質の性能をまとめたデータベース(FP base)にアクセスすると、これらの数値を見ることができます。
標識細胞を作る場合、性能の良い蛍光タンパク質を選び、目的の遺伝子につないで細胞内でタンパク質を作らせれば、それでOKとは限りません。つなぎ方には慎重な検討が必要です。図では、チューブリンと蛍光タンパク質の間にはさんだペプチド鎖(リンカー)の長さが短い場合に細胞の形が異常になってしまった例を紹介します。
現在世の中で使われている標識細胞は、蛍光タンパク質の種類、蛍光タンパク質とタンパク質をつなぐリンカー、蛍光タンパク質とタンパク質のつなぎ順など、さまざまなテストをして優秀だったものです。新しい標識細胞を作るには地道な確認作業が必要です。