接合藻類の系統

接合藻類は陸上の植物に最も近縁な生物

陸上植物に最も近い生物は何かは、長年にわたって議論されてきました。DNA配列を使った分子系統樹の技術を使っても正確なことがわからず、諸説あったのですが、遺伝子配列の情報が増え、専門家の間での議論が熟成したことにより、現在ではアオミドロ、ミカヅキモ、アワセオオギなどの接合藻類が最も近い生物であることが、ほぼ確定しています。

詳細はこちらを参照してください(基礎生物学研究所・長谷部研ホームページ 壁谷幸子博士作成)。

接合藻類の多様な形態

接合藻類の形は多様です。ミカヅキモは細長いですが、丸くなったツヅミモ、突起をたくさん持ったアワセオオギなど、それぞれ違っています。また、アオミドロやヒザオリのように多細胞化したものもあります。

アワセオオギの突出パターンは種によって違っています。多様な形の原因を探るため、細胞の形とDNA量の変化などが調べられていますが、わかっていないことが多いです。

細胞板喪失の謎

接合藻類が陸上植物にいちばん近縁な生物であることがわかったため、新たな謎が生じました。これまでは、シャジクモやコレオケーテが陸上植物に最も近縁で、接合藻類は遠縁だと思われていたので、共通祖先から接合藻類が分かれたあとで、細胞板による分裂が獲得されたと考えられていました。しかしながら、接合藻類が分かれる前に細胞板が獲得されていたため、接合藻類が陸上植物と分かれてから、接合藻類の系統で細胞板が失われたことになります(図)。接合藻類の進化の過程で細胞分裂の仕組みにどのような変化が起きたのか、解析が待たれます。