蛍光顕微鏡

蛍光とは

蛍光とは、物質に光を当てたときに出る光です。反射と違って、光は物質に吸収され、ふたたび放出されます。そのため、吸収された光の色(波長)と蛍光の色(波長)は違います。

蛍光の出しやすさは物質によって違います。蛍光を出す物質は蛍光物質、あるいは蛍光色素と呼ばれます。文房具の蛍光ペンは、インクに蛍光色素を使っているので、輝いて見えます。黄緑のペンは、ブラックライトに効率よく励起されて明るく輝きます。

蛍光顕微鏡

蛍光顕微鏡では、顕微鏡から蛍光を出させるための光(励起光)を照射し、サンプルから蛍光を放出させます。特殊なフィルターを使って、励起光を除き蛍光だけを観察します。

対物レンズから光が出ているようす

植物の持つ蛍光物質

植物の持つ蛍光物質で、有名なものはリグニンとクロロフィルです。リグニンは組織を支える細胞(繊維)や、水を通す細胞(道管)に含まれていて、青色の蛍光を出します。クロロフィルは光合成色素で、吸収した光の一部を赤い蛍光として放出します。乾燥を防ぐためのクチクラも光ります。

ツバキの葉の断面を蛍光顕微鏡で見たところ

蛍光色素で細胞を染色することができる

多くの蛍光顕微鏡観察では、細胞を蛍光色素で染色して観察します。植物の細胞壁を青白く染色する色素で染めれば、細胞壁だけを見分けることができます。他にも、核のDNAを染色する色素もよく使われます。有名なGFPは蛍光を出すタンパク質で、色素を加えなくてもGFPを作る細胞が光ります。

蛍光色素で染色したタバコ培養細胞