植物は根、茎、葉の構造を作り、陸上の環境に適応しています。植物の祖先の緑藻が上陸して根、茎、葉を作るためには、細胞のしくみを変化させる必要がありました。ミカヅキモの仲間(接合藻)は陸上の植物に最も近縁の生物です。ミカヅキモの細胞のしくみを知ることで、植物の上陸のときに細胞のしくみがどのように進化したのか推測することが可能になります。
解説:接合藻類の系統
ミカヅキモの仲間(接合藻)は、さまざまな形に進化して環境に適応しています。1つの細胞が精巧なマイクロマシンのようです。独自の形が、どのようなメリットがあり、どのような進化の結果生まれたのかを解き明かしたいと考えています。
ミカヅキモは植物の進化の鍵となる生物
アワセオオギはミカヅキモの仲間
細胞の中にある細胞骨格のはたらきに注目しています。植物や藻類の細胞では、細胞骨格は、細胞の形作りに働きます。細胞骨格のはたらきの詳細は、「解説」ページを見てください。
〇 ミカヅキモの細胞分裂のしくみ
〇 ミカヅキモの動くしくみ
〇 アワセオオギの規則的な突起はどのように進化したのか
ミカヅキモ、アオミドロ、アワセオオギなどの接合藻類は、陸上の植物と姉妹関係にあります。これらの細胞分裂、運動のしくみと、陸上植物の進化との関係について研究しています。
ミカヅキモの運動
ミカヅキモの細胞分裂
〇 植物細胞の紡錘体ができるしくみ
〇 細胞板のできるしくみとその起源
動物細胞は中心体を持ち、中心体が微小管を生やすことによって細胞分裂が行われます。一方、植物細胞は中心体を持ちません。それでは、植物細胞はどのようにして分裂するのでしょうか? 村田は植物細胞で微小管が微小管が生やすことを発見しました(Murata et al. 2005)。この発見をもとにして細胞分裂のしくみを解析しています。
解説:植物の細胞分裂と微小管
タバコ培養細胞の紡錘体
Kamada et al. (2022) Low-invasive 5D visualization of mitotic progression by two-photon excitation spinning-disk confocal microscopy. Scientific Reports. 12, 809 website
Kosetsu et al. (2017) Cytoplasmic MTOCs control spindle orientation for asymmetric cell division in plants. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 114, E8847-E8854; doi.org/10.1073/pnas.1713925114 website
Murata et al. (2013) Mechanism of microtubule array expansion in the cytokinetic phragmoplast(細胞質分裂に関わる隔膜形成体での微小管列拡大の機序)Nature Communications 4, 1967 和文要旨
村田隆(2018)表層微小管「列」:自己組織化する繊維. 植物科学の最前線(日本植物学会のオンライン総説) 9:111 リンク
村田隆ら(2015)2光子スピニングディスク共焦点顕微鏡による3Dライブイメージング. Plant Morphology 27 巻 1 号 p. 27-32 妙録
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