(7) 研究会会員の研究内容紹介
研究事例3:クリープグローン音の解析 日清紡ブレーキ㈱ 内山 勝宏
ディスクブレーキの代表的な異音であるクリープグローン音とは,車両停⽌状態でブレーキペダルを緩めると摩擦面でスティックスリップ振動が発生し,ググッというような200〜400Hzの周波数を主成分とする振動騒音が発生する現象である.その振動がサスペンションなどを伝わって車両に伝播し増幅されることが知られている.この異音を改善することは自動車の静粛性・快適性において重要な課題であり,これまでにも多くの研究がなされてきたが,実験に基づく現象の解明および改善⼿法が中⼼であり,設計段階で改善効果を見積もる⽅法が技術課題として残されている.
クリープグローン音シミュレーションの事例としては、ブレーキ各部を剛体,サスペンションを弾性体とした機構解析モデルにより,共振や伝播特性を改善する例が見られるが,起振源の特性に着目した解析例は少ない.著者らは起振源のスティックスリップ現象の観点から,ブレーキ各部を弾性体としてサスペンションのねじれ剛性を考慮した図6に示すようなブレーキアッセンブリモデルで解析を行った.ロータ中⼼軸上に2点(Node1およびNode2)を設け,サスペンション結合部とNode2を結合してNode1とNode2の間にばね要素を追加した.Node1は完全拘束してロータ回転軸廻りの反モーメントをトルクとして検出できるようにした.