あなたの「当たり前」は、他の誰かにとっては「奇跡」かもしれない
想像してみてください。あなたが普段何気なくできていること、それはどれも欠かせない日常的な行為であり、あなたにとっては当たり前のことかもしれません。ゲームを楽しんだり、スマホを操作したり、歩いて移動したり、食事のために物を掴んで口に運んだりすること。それらすべて、あなたにとっては何でもないことです。しかし、これらができない人たちが世の中にはいることをご存知ですか?その事実を目の当たりにしたとき、あなたはどんな思いを抱きますか?
日常動作に困難を抱える人々
私たちが取り組んでいる研究の中心には、身体の自由な動きが制限されている方々がいます。脊髄損傷や麻痺によって、上下肢をうまく動かすことができない方々です。彼らにとって、日常の些細な動作ですら困難であり、その一つ一つに大きな壁を感じながら生活しています。身の回りの「当たり前」がどれほどの挑戦であるかを、ぜひ知っていただきたいと思います。私たちは、この壁を乗り越え、彼らが「普通の生活」を取り戻せるよう全力で支援しています。
私たちは、こうした「当たり前」をすべての人に実現できる社会を作りたいと願っています。身体に制約のある人々が自由に動き、生活を楽しむことができるよう支援するために、機械工学の力を駆使して日々この問題に取り組んでいます。
生体信号を使ったHuman-Machine Interface
私たち最終目標は、「人」が「モノ」を自分の意思で動かせるようにすることです。特に近年注目を集めているのが「筋電位」と呼ばれる生体信号を用いた「モノ」の制御です。この筋電位を利用することで、私たちはあらゆるモノと人の間に新たなインターフェースを作り上げようとしています。例えば、手や足の動作が制限されている人が、その意図を筋肉の信号を通じて読み取り、車や車いす、リモコン、さらにはスマートフォンの操作など、日常的な動作を実現できるようにすることができるのです。