道立近代美術館の展覧会のご案内

投稿日: 2016/01/12 3:24:59

道立近代美術館の展覧会で、次のような展覧会が開かれています。

<『さとぽろ』とその時代 詩・版画・都市のモダニズム>

2015.12.19(土)-2016.3.21(月)

1925年に北海道帝国大学の学生と教官が中心になって創刊した芸術雑誌に焦点をあてるもので、

2015年が創刊90年にあたることから、道立近代美術館と北海道立文学館(こちらは1月30日から)

が連携して開催するものです。

『さとぽろ』とその時代 詩・版画・都市のモダニズム

Art Magazine SATOPORO and its Times:

Modernism in Art and the City

1925年6月、札幌で詩と創作版画の雑誌が誕生しました。その名は、『さとぽろ』。創刊同人は外山卯三郎(とやま・うさぶろう)、斎藤護国(さいとう・ごこく)、伊藤秀五郎(いとうひでごろう)、服部光平(はっとり・こうへい)、宮澤孝(みやざわ・たかし)、相川正義(あいかわ・まさよし)、宮井海平(みやい・かいへい)、伊藤義輝(いとう・よしてる)。彼らは北海道帝国大学(現・北海道大学)の学生と教師。自画・自刻・自刷りの版画を貼りこみ、詩やエッセイにより構成した、珠玉の雑誌でした。1929年、通算29号を最後に終刊し、活動期間は約4年という短いものでしたが、美術と文学はもちろんのこと、音楽、演劇、建築など、さまざまな芸術の最新の動向に敏感に反応し、雑誌の刊行以外にも、展覧会、舞台、コンサートなどの活動を積極的に展開。『さとぽろ』は、1920年代後半の札幌における先鋭的な芸術動向をリードする、意欲的な運動体でした。

本展は、芸術雑誌『さとぽろ』の全貌を紹介してその活動の軌跡を跡付けるとともに、代表的な創作版画を中心に展示。また、雑誌交換をおこなったことが確認できる、他の芸術雑誌をあわせて紹介し、日本の戦前の芸術雑誌の潮流における、『さとぽろ』の位置をうかびあがらせます。

さらに、『さとぽろ』に途中から参加した建築家・田上義也に焦点をあて、田上が『さとぽろ』の人脈とのかかわりの中から生み出していったモダンな建築や、住宅のために設計された家具も展示。札幌というモダン都市に根ざした芸術活動としての『さとぽろ』の性格を浮き彫りにします。

本展は、『さとぽろ』創刊90年を記念して開催するもので、北海道立文学館「『さとぽろ』発見 大正 昭和・札幌 芸術雑誌にかけた夢」展(2016年1月30日~3月27日)と連携して企画するものです。本展ならびに文学館「『さとぽろ』発見」展をあわせてご覧いただくことにより、芸術雑誌『さとぽろ』を、よりゆたかに味わっていただくことができるでしょう。

服部光平《『さとぽろ』創刊号表紙》 1925(大正14)年 当館蔵