pseudolachnea 様菌類の分類学的再検討

Pseudolachnea 属とPseudolachnella 属の分類には問題が挙げられている. 先行研究では両者を同属と見なす意見がある一方で, 分生子の隔壁数のみ基づき区別できる属として見なす意見もある. 本研究ではpseudolachnea 様菌類26 菌株について形態観察とITS-LSU-tef1 領域の配列に基づく分子系統解析を行った. 結果として, それらのタクサは4 属に区別された. すなわち, Pseudolachnea 属, Pseudolachnella 属, そして新属であるNeopseudolachnella 属とPseudodinemasporium 属である. Pseudolachnea 属とPseudolachnella 属の両属の単系統性は確かめられたが, それらの属を区別する特徴は分生子果の壁構造にあることを見いだした. 分生子果の基部および外皮層の厚さのような違いは, 分生子の隔壁数よりもそれらの属を区別する上で有用であると考えられた. Neopseudolachnella 属はPseudolachnea 属やPseudolachnella 属に分生子の形態が類似しているが, 後者の2属のメンバーと異なり, 分生子果に外皮層を欠く点で区別された. Pseudodinemasporium 属はDinemasporium 属に類似した形態の分生子をもつが, 後者に比べて著しく発達した分生子果の外皮層をもつ点で区別された. 新属Neopseudolachnella 属に3新種, 新属Pseudodinemasporium 属に1新種, Pseudolachnella 属に8新種の計12新種が記載された.


https://doi.org/10.3852/14-171

pseudolachnea 様菌類の系統関係

胞子形態よりも子実体の微細構造が属を特徴付ける上で重要と考えられる