My Vision: 科学コミュニケーションの”良いデザイン”の創出と実践

”いま,ここ”にいる人に,科学とわたしはどうかかわれるのだろうか?


これが,私が目指す科学コミュニケーション像です.


私はこの実現に向けて,以下の4つの方向から実践を展開しています.


その中で,「妥当な目的を立て,それを形に落とし込む」という,

効果的な科学コミュニケーション実践を生むための「良いデザイン」の創出を目指しています.

About "Good Design for Science Communication"


科学コミュニケーションは,科学と人間・社会の間により良い関係性を構築する営みだと,

私は考えています.


もちろん,「『より良い関係性』とは何か?」という問いは残っているでしょう.

ただ,私は「より良い関係性」は1つではなく,また1つに定められないようにも思えます.

むしろ,「何を『より良い関係性』とするか?」という目的の妥当性と,

「その実践で『より良い関係性』が実現されたか?」という目的との整合性の観点から,

1回きりの実践を逐次振り返り,次につなげる姿勢のほうが大切ではないかと考えています.


私が(現在)考える科学コミュニケーションの「良いデザイン」の基本フレームを示します.



まず,「何のために科学を伝えるのか?」「何を『より良い関係性』と考えるのか?」

といった目的の妥当性を,可能な限り高解像度に検討します.

できれば言葉にして残しておいたほうが,その先を考える際の拠りどころになるでしょう.


次に,「何を伝えるか?(コンテンツ)」「どう伝えるか?(メディア)」

という2つの視点で分析し,目的を達成するための実践を具体化していきます.

分析の手段は様々で,総合格闘技のようなものです.

自然科学に限らず,様々な学問・知見・経験を参照できるかどうかがカギと言えるでしょう.

分析するための視点の整理は,私自身興味あるテーマの1つです.


続けて,分析したものをデザインによって統合し実践という”作品”を構成していきます.

構成する際には,コンテンツをメディアに乗せる翻訳の視点を持ちつつ

メディアを通じてコンテンツと人間・社会をどのようにつなぎ,

どのような関係性を構築するか,常に問い続けること重要です

この段階の汎用的手法を探究することが,私が挑む課題の1つでもあります.


最後に,「その実践で『より良い関係性』が実現されたか?」という目的との整合性を見ます.

様々な形でフィードバックをもらい,修正を加えつつ先に進んでいきましょう.


いまここに示した科学コミュニケーションの「良いデザイン」は,

常に改良されていくべきものです.

科学コミュニケーションの「良いデザイン」の構築を目指して,

終わりなき道を今後も歩み続けます.


Last edited: 2022.1.1

Previous / current works

Publications

Journals

Fukunaga, T. M.; Kato, T.; Ikemoto, K.; Isobe, H. (2022). A minimal cage of a diamond twin with chirality, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 119, e2120160119. (Reviewed article, open access: Link, Press release)

久保田祐貴, 加藤昂英, 一柳里樹. (2021). 参加者の自発的交流と参画を促す科学技術コミュニケーション 〜UTaTanéにおける2つの実践に基づく分析〜. 科学技術コミュニケーション, 28, 61-74. (査読付き論文,オープンアクセス:Link, PDF


Awards

化学コミュニケーション賞2019 審査員特別賞(団体):東大CASTとして(Link


Presentations

加藤昂英. (2021.12.19). 「科学を伝える」ことを翻訳・デザインから考える―「カガクのメガネで見るセカイ」の実践例を交えながら―. 第21回全国科学教育ボランティア研究大会 in オンライン.(口頭発表,オンライン:LinkSlideRelated blog

久保田祐貴, 加藤昂英, 加藤多笑, 森雄一朗. (2021.12.19). 参加者の「声」を聴く: UTaTanéのオンライン実践と課題. 第21回全国科学教育ボランティア研究大会 in オンライン.(口頭発表(一部),オンライン:Link

○青井隼人, 加藤昂英, 韓東学, 久保田祐貴. (2021.11.16). 『みるみるオノマトペ』:言語研究を題材としたオンライン展示企画の協働開発裏話. リンディフォーラム:ウェビナーシリーズ(18).(オンライン:YouTube).

○久保田祐貴, 一柳里樹, 澤田和宏, 田中優之介, 加藤昂英. (2020.12.12). 虚偽情報を含む広告・見出し創作活動に基づく発信者視点でのメディア・リテラシー醸成の実践報告. 2020年12月教育工学会研究会(口頭発表,オンライン) / 研究報告集JSET20-4, 69–74. (オンライン:Link

加藤昂英. (2020.8.14). 子ども向け科学コミュニケーションの実践例と課題. 第2回Zoomで科学る. (口頭発表,オンライン:Related blog

加藤昂英. (2019.3.14). 白猫ラボにおける実践~ “いま、ここで必要なSC” の実現に向けて ~. 第1回SCを考える会.(口頭発表:Related blog

加藤昂英, 藤田尚輝. (2019.3.2). 進化するサイエンスコミュニケーション~教育心理学・知的好奇心からのアプローチ~. 第8回サイエンス・インカレ.(審査あり,口頭発表:Web archiveReport(p.4中央下部に発表の様子が掲載))


Writings

お台場100人論文. サイエンスアゴラ2022.

化学基礎「化学反応式とその量的関係」のライブ授業(風記事)~教育実習での授業実践から~. 理科教育Advent Calendar 2021. (12月12日分の記事を書き下ろし:LinkBlog

お台場100人論文. サイエンスアゴラ2019. Related blog

全教研(監修). (2019). ぜんぶ5分 中学からの最高にゆるい勉強法. 学研.(東大CASTとして協力:Link

東京大学サイエンスコミュニケーションサークルCAST. (2019). イラストでサクサク覚える 東大生の元素ノート. すばる舎. (東大CASTとして一部執筆:Link