1997年白神山地の腐葉土から分離された白神こだま酵母(白神)は、トレハロースの高蓄積、乾燥耐性および冷凍耐性を有する。一般にストレス耐性の高い酵母は、経時的寿命が長いと言われている。そこで、白神の経時的寿命を測定したところ、実験室株のそれの約1.3倍長かった。栄養飢餓条件下では、貯蔵糖であるグリコーゲンとトレハロースが蓄積される。実験室株と比較すると、Day3における白神のグリコーゲンは約40倍、トレハロースは約6倍であった。AMPKファミリーに属するSnf1がグリコーゲンの合成に関与していることから、白神のSnf1のリン酸化状態をウエスタンブロットにより調べた。その結果、白神のSnf1のリン酸化は実験室株のそれの約2倍であった。このことは、実験室株よりも白神ではSnf1が活性化していることを示している。グルコースー6-リン酸(G6P)がSnf1の活性化を抑制ているとの報告があるので、白神のG6P濃度を測定したところ、実験室株のそれの約7分の1であった。