駐車場でゴミをひろう

みたままつり、楽しかったですね。夏の大きな行事を無事に終えたことで、子供たちは開放的な気持ちになっているようです。水遊びから聞こえてくる歓声も、ひときわ大きくなったような気がします。

椋の会役員や協力員の保護者のみなさま。準備から運営、後片付けまで、本当にありがとうございました。みなさんの力なしでは、これだけの行事をおこなうことはできませんでした。

それから、だれも見ていないところで椅子を片付けてくれたA君のお父さん。飾り付けをはずすのを手伝ったのに、何も言わずに帰られたBちゃんのお母さん。心から感謝を申し上げます。

少し前のある朝のことです。出勤してきたばかりのC先生が、こっそりとおしえてくれました。

その日、Dちゃんとお父さんはいつものように登園してきました。お父さんはDちゃんを先生に預けると、駐車場に戻りました。車に乗り込む際、ふと立ち止まり、落ちていたゴミをひろいました。お父さんは、ゴミを持って車に乗ると、そのまま走り去ったそうです。

たまたまC先生が見ていなければ、このことを知る人はいませんでした。

わたしたちの住む世界では、今日も至るところにゴミが生まれています。早歩きで急ぐわたしたちは、言い訳を山ほど用意しながら、気付かない振りをしてその前を通り過ぎていきます。そしていつの間にか、本当に気付かなくなってしまうのです。

しかし、そうでないひともいます。オフィスに、工場に、そして家庭にも。報われず、称賛もされないまま、人知れず、後始末をするひとがいます。自分の評価が上がる訳でもなく、自分がすることになっている訳でもないのに。

そういうひとのおかげで、この世界は破綻せずに済んでいるのかもしれません。

あらゆるものに対価が設定され、あらゆる努力に成果が求められる世界では、わたしの言っていることはたわごとに過ぎないのかもしれません。ゴミの責任追及と綿密な対策のほうが大事なのかもしれません。

でも、とわたしは思います。たくさんのひとが「だれも見ていない駐車場でゴミをひろう」ようになれば、この世界はもっと住みやすくなるのに。