雪かき

しずまりかえった日曜の朝。窓の外を見て言葉を失いました。お寺の駐車場から保育園まで、ひざが埋まるほどの雪におおわれています。

わくわくが半分、やれやれが半分。「45年ぶりの大雪」とまくしたてるニュースに急かされるように、長ぐつをはき、倉庫からシャベルをひっぱりだしました。雪かきの開始です。


しばらくすると、四人、五人と先生たちが雪かきのためにやってきてくれました。おかげで駐車場や園庭の雪はかなりかたづきました。(みなさんも、お家や職場で雪のあとしまつに追われたことでしょう。おつかれさま)

月曜日になると、電車や車もなんとか動くようになり、先生たちはいつもより早めに出勤してきました。まずは園庭の雪かきです。

登園してきた子どもは大喜びです。大きなかまくらができあがりました。雪合戦もはじまりました。雪かきをしている大人の姿を見て、「ぼくもやる」と、何人かの子どもたちが手伝いはじめました。ちいさなシャベルと二輪車でせっせと雪をはこびます。

私などは、前日からのなれない力しごとに少々うんざりしていたのですが、なんのなんの、子どもは嬉々として雪を運んでいます。大人にとっては労働かもしれませんが、子どもにとっては雪かきも立派な遊びのひとつなのです。

子どもが雪かきを楽しんでいる姿を見て、大人の方もなんだかやる気がでてきました。お昼前にはだいぶきれいになりました。


雪かきのほかにも、子どもたちは保育園でさまざまな「お手伝い」をしています。部屋のぞうきんがけをしたり、おもちゃを洗ったり、小さい子を寝かしつけたり…。

日々の生活上の「しごと」を、「あそび」として体験することで、子どもは様々なことを学んでいます。大人のまねをしながら、机のうえだけでは得られない生きる力を身につけていくのです。


日かげに残っていた雪をかたづけていると、年中児のA君がやってきました。「てつだってやろうか」ちょっと生意気な申し出にニヤリとしつつ、たすかるよと返します。

私が「よいしょ」と声を出すと、同じように声をはりあげます。疲れてシャベルにもたれる仕草までまねして、一人前をきどっています。後ろで見ていた担任のB先生にほめられ、ますます得意になり、あっという間に雪はなくなりました。

きれいになった園庭をA君と二人でながめ、一緒に汗をながした者どうしにしか分からない充実感にひたりました。