連絡ノート

ある日、「連絡ノート」を何気なく開くと、担任の書いた文章のあちらこちらに「♡」や「☺」などの絵文字があるのを見つけました。

オジサンは思いました。「保護者への大切な連絡なのに、こんな子どもじみた絵文字を使うとはけしからん!」

早速この話をベテランの I 保育士にすると、思いがけない答えが返ってきました。「確かに使いすぎは良くないですね、注意します。・・・・でも、この絵文字一つには子どもへの「思い」がいっぱい詰まっているんですよ。」

この言葉を聞き、私は少し考えを改めました。

ノートを読むと、子を思う親のひたむきさにしばしば心が打たれます。初めてオマルに成功した喜びや、咳がなかなか抜けないことへの心配。夜に子どもを寝かしつけてほっと一息ついた時、あるいは朝の支度の合間をぬって、ペンを走らせるあなたの姿が目に浮かぶようです。

担任もこの思いに応えようと頑張っています。子どもが昼寝につくと、食事もそこそこにノートを書き始めます。受け持ちの冊数が多いと、休憩を取る時間もほとんどありません。日中の子どもの様子を生き生きと伝えられるように、一人ひとりのノートを精魂込めて書きます。

今さらながら気がつきました。「絵文字」は、狭い枠内には収まりきらない「思い」をたった一つの小さな絵で表していることに。何と素晴らしい発明!

それ程目くじらを立てることはなかったのでしょう。漢字だって大昔は絵文字みたいなものだったのですから。太古の洞穴に刻み付けられた線画と、ノートに記されたハートマークは同じくらい尊い。

それにいつだって未来は、オジサンの感性をいとも軽々と乗り越えてゆく・・・・。

Mちゃんは進級して少し登園を渋るようになりました。お迎えにきたお母さんは、車に乗り込むとエンジンもかけずに連絡ノートを読み始めます。園での様子を一刻も早く知りたいのでしょう。真剣な表情で読んでいたかと思うと「クスッ」と笑い、Mちゃんと顔を見合わせました。

どうか、これからも「連絡ノート」が、あなたと子どもと保育者を結ぶ心の架け橋でありますように♡

*「連絡ノート」とは、毎日の家庭でのお子さんの様子と園での様子を伝え合う「交換日記」のようなもので、ひよこ・ことり・りす組で使っています。