自由に遊べ!どんどん学べ! 第4回

(平成29年7月20日号)

「自由に遊ぶことの大切さは分かりました。でも・・・」


「集団での活動はもうしないのですか?」

そんなことはありません。分かりやすいのが、運動会や発表会などに向けた活動でしょう。発達度に応じた種目・演目を行うことが多いので、年齢別クラスでの活動が主となります。

また、遊びのきっかけ作りとしてクラス活動を行うこともあります。例えば、先生がある日、子供たちが缶けりをしたことがないのに気づいたとします。先生は子供たちを集め、「缶けり」という面白い遊びがあるから一緒にしようと言います。遊びながら一通りのルールを教えます。

何回か先生の主導で行っているうちに、次第に子供たちだけで缶けりを営めるようになってきます。缶けりをしたい子を集める、どの場所を使うか決める、オニを選ぶ、分からない子に教える、トラブルを解決する・・・。こうしたことを大人の力を借りずにできるようになれば、しめたものです。缶けりに限らず、様々な場面で子供主体の集団活動ができるようになってきます。



「わがままな子になりませんか?」

自由に遊ばせてばかりいると、礼儀作法や規範意識が身に付かないのではないかという声も耳にします。

子供には、年齢と共に「仲間と一緒に遊びたい」という気持ちが芽生えてきます。仲間と一緒に遊ぶためには、時には我慢することも必要になります。多少のわがままは大目に見てもらえるかもしれません。でもそれも度が過ぎると、「〇君は入らないで」と集団からはじかれてしまいます。

どんな子でも、好き勝手に振る舞ってばかりいると、仲間と遊べずに、つまらなくなってしまうということを学習します。「仲間と一緒に遊びたい」と思うからこそ、集団のルールを守ったり、相手の気持ちを汲み取ったりすることを覚えていくのです。

強制的な躾で即席の「礼儀作法」を仕込むよりも、自由な環境のもとで、ゆっくりでもいいから「相手を思い遣る心」を養いたいと、私たちは考えています。



「ただの放任ではないのですか?」

自由遊びといっても、すべて子供のなすがまま、大人は何の働きかけもしないということではありません。有無を言わさずやらせるような「指導」ではなく、子供の選択肢の幅を増やしてあげられるような「仕掛け」の形をとった働きかけです。

開園前の園庭では、早番の先生がさまざまな「仕掛け」をしているのが見られます。園庭に白線を引いて線路にしたり、昨日の遊びの続きを意識しながら、ままごとセットを並べたりします。

遊びの最中にも「仕掛け」をします。天気が良い日には、子どもを散歩に誘うこともあります。中には、いつもいきたがらない子もいますが、時には半ば強引に誘って連れて行くこともあります。道中の景色や公園の豊かな自然は、実際に行ってみなければ体験できないからです。 一年先を見越した「仕掛け」をすることもあります。秋に落ち葉を集めて腐葉土を作っておくと、春先には畑の肥やしになり、夏はカブトムシが育ち、秋には育てた芋を収穫します。これらをみんな子供と一緒にするのです。