水あそびの夏

大量の水鉄砲を用意しました。取り合いになっては可哀そうだという仏心だったのです。それが後に悲劇を生むとはつゆ知らず・・・

午前10時で日陰の気温がすでに30度。8月最初の「たからの日」(自由遊びの日)は、絶好の水あそび日和となりました。

大きいお兄ちゃんお姉ちゃんに独占されることなく、年少のT君やHちゃんも水鉄砲を手にすることができました。満面の笑みを浮かべて嬉しそうです。早速あちこちで水の掛け合いが始まりました。パンツ一枚なので、服が濡れるのを気にする必要もありません。

そのうちに、保育園の「災害時協力員」に登録して頂いたI君の祖父のSさんがやって来ました。「災害時協力員」とは、地震等が起きた際に保育園のために活動して下さるボランティアです。せっかくなので、普段の活動にもお招きすることにしたのです。

いつの間にか、Sさんが水鉄砲部隊に取り囲まれています。「ちょっとまった!」と声をかけようとしたのですが、時すでに遅し。集中砲火を浴びています。元校長先生という威厳も、この無法者たちの前では通用しないようです。バケツに汲んで来た水を掛ける猛者も現れました。

冷や汗をかきながら謝ったのですが、Sさんは一向に意に介していないようです。「全然かまわないですよ、楽しいですね」。笑いながらジョウロで応戦し始めました。頭から水を掛けられたT君は大喜びです。

その時、2階のテラスから、高らかな笑い声と共にホースの水が降ってきました。H先生とN先生の仕業です。年長のK君、Y君は、「クソー、仕返ししてやる」と勇んで2階へ向かって行きました。すぐにずぶ濡れになったK君が逃げ帰ってきました。「だめだ、N先生は強すぎる!」聞けば返り討ちにあったとのこと。

年中のA君やI君らも「行くぞー」と気勢を上げて、バケツを手に階段を駆け上がっていきます。暫くして「キャー」というH先生の悲鳴が聞こえてきました。

昼の休憩時にH先生が報告してくれました。「いつもよりよく給食を食べていました。昼寝もぐっすりです。」ずぶ濡れにされたにも関わらず、子どもの寝顔に負けず劣らず満足そうな笑顔でした。