時間外保育

朝早くと夕方以降の保育時間のことを「時間外保育」とか「延長保育」と呼んでいます。まるで「おまけ」であるかのような名称ですが、とんでもありません。保育が長時間に及ぶ子どもにとっては、日中にもまして大切な時間です。

担任の保育士に交じって、時間外先生と呼ばれる保育者が子どものお世話をします。子どもにとっては、「おばあちゃん」みたいに甘えさせてくれる優しい存在です。

昼間の時間帯は、一日の中で最もいきいきとした時間であると同時に、多少の緊張を強いられる時間でもあります。だからこそ意義のある時間でもある訳です。

ですが、同じような緊張が朝早くから夕方遅くまで続くと、子どもはへとへとになってしまいます。職場ではしゃきっとしたお父さんが、家庭ではだらしないくらいくつろいでしまうように(失礼!)、保育時間が長い子には、まるでお家でくつろぐような時間を作ってあげたいと思っています。多少のわがままも温かく受け止めてくれる人だって必要でしょう。たから保育園では「時間外保育」をそんな風に考えています。

今朝の登園一番乗りは1歳児のAちゃんでした。少し鼻水が出ますが、年末の書き入れ時にお父さんもお母さんも仕事を休むことはできません。体調の悪さも手伝って、お母さんとの離れ際にぐずってしまいました。時間外のB先生が泣きやまないAちゃんを引きとりました。B先生がおんぶしてしばらくすると、気持ち良さそうに寝入りました。

朝から少しいらいらしていた5歳児のCちゃんは、とうとうおやつの時にお友達とけんかをして叩いてしまいました。先生に叱られてしまい、園庭に出た後も機嫌はよくなりません。階段に座り込んだままふてくされています。

夕方の会議が終わった後、部屋をのぞきに行きました。時間外のD先生の膝の上にちょこんと座っているCちゃんを見つけました。穏やかな表情で甘えながら、一緒に折り紙をしています。

テレビから早口の天気予報が聞こえてきました。「発達した低気圧により、今夜から暴風や雪となるでしょう。厳しい冷え込みにご注意ください。」明日はいつもより温かくしてお待ちしています。