手作りの箱車

園の車が修理に出されました。車といっても最近はやりのハイブリッドではありません。手造りの箱車です。引くとガタコトいう重くてすこし不格好な木の車です。現在、園には3台あります。みな同じ方が作ってくれたものです。壊れるたびにこころよく修理していただき、大切に使っています。

最初の車が届けられたのが1990年の3月。かれこれ20年が経ちます。その時のことが当時の「椋の木のおはなし」に書かれていたので読み返してみました。子ども達に大人気であることや作って下さった方への感謝が綴られ、結びには「この箱車のように手造りの心を持ち、子ども達にあたたかい心を伝えたい」とあります。

20年で園もかなり様変わりしました。園舎は新しく建て替えられ、園庭の遊具も変わりました。当時の職員もほとんど残っていません。経営も次世代にバトンタッチされつつあります。多くの子どもたちがここで暮らし、そして巣立っていきました。その間、箱車だけは変わらずに子ども達を見つめ続けてきました。

子どもを取り巻く状況も大きく変わりました。世の中に合わせて保育園も変わっていかなければならないのでしょう。

それでも変わらずに大切にしなければならないこともあるのだと思います。この無骨な箱車はそのことを思い出させてくれます。

ピカピカになった箱車が戻ってくる頃、園では新しい友達をたくさん迎えていることでしょう。