小さな幸せ

その1 ドキドキ

発表会前日のことです。先生たちは準備のため慌ただしく動き回っています。子ども達も心なしか落ち着かない様子です。

ぞう組(年長児)のA君がわたしを見つけてやってきました。

「園長せんせい。あしたは発表会だよ」声が弾んでいます。

「いよいよだね、楽しみだね」そう答えると「むねがドキドキする」と言ってわたしの手をとり、自分のむねにあてました。6歳の小さな体の中で期待と緊張が大きく波打っています。

当日の大成功は知ってのとおり。小さい頃は抱っこをせがむことの多かったA君が、またひとつお兄さんになりました。


その2 キラキラ

月に一度かならず避難訓練をしています。今月は隣家が火事になったという想定です。いつも通り、ぶじに園庭に避難することができました。

そして、これもいつもどおり、全員集合して「園長せんせいのお話」を聞きます。わたしが口を開くと…下を向いて砂いじりをしたり、友達とふざけている子がひとりもいません。みな私の目を見てしっかりと話を聞いています。目がキラキラ輝いています

ぞう組だけでなく、りす、うさぎ、きりん、みんなです。ひよことことりの小さなお友達も、泣かずに参加できましたよ。4月の避難訓練とは大違いです。

その3 カサカサ

落ち葉がじゅうたんのように敷き詰められています。掃除をさぼっているわけではありません! 園庭の環境をよくするために、あ・え・て、残しているのです。

きりん組(4歳)が鬼ごっこを始めると、落ち葉がカサカサと音を立てて喜んでいます。ぞう組さんは落ち葉を集めて焼芋ごっこをはじめました。りす組(2歳)さんが、焼きあがった芋を取り出して歓声をあげています。

お布団になったり、ままごとのご飯になったり、落ち葉は大活躍です。へたな遊具よりよっぽど優れています。

階段の下を掘り返したら、カナブン(?)の幼虫が出てきました。砂っぽかった園庭が変わりはじめています。

年の瀬の忙しいさなか。すこし立ち止まってみたら、小さな幸せがたくさん見つかりました。来年はもっといいことがありそうな予感です。