インゲンの芽

4月中旬の晴れた日、年長の子どもたちはインゲンの種をまきました。実家が農家の鈴木栄養士から分けてもらった種です。発砲スチロールの箱の底に穴を空けて、即席のプランターができあがりました。ふかふかの土をたっぷり入れました。園庭の土とは違うしっとりした手触りも楽しんでみました。指で土にくぼみをつけ、種を入れてから土をかぶせます。

子どもたちは毎日、ベンチの脇に置かれたプランターをのぞき込み、芽が出るの今か今かと待ちました。ところが一向に芽は出てきません。どうやら天候不順が原因のようです。何しろ4月なのに雪まで降ったのですから。担任も子どもたちも随分心配しました。

連休を目前に控えたある朝、Nちゃん、Yちゃん、Rくんが事務室に走りこんできました。

「先生!芽が出たよ!」

引っ張られるようにしてプランターを見に行ってみると、少し盛り上がった土の下に、お辞儀をした小さな芽が顔を覗かせています。

「ああ、よかったね。」

「もう死んじゃったのか思ったけどね。」

「みか先生、まだ来ないかな。早く教えたいな。」

遅番のため後から出勤してきた担任の杉野保育士は、子どもたちから報告ぜめにあったことでしょう。

連休中は春らしい暖かな気候に恵まれました。芽はぐんぐんと伸び、6センチほどの高さになりました。そばで見ていた鯉のぼりは、成長の早さにびっくりしたことでしょう。休み明けに登園した子どもたちは、もっとびっくりしたはずです。

大きく青々とした葉が、お日様の光を一杯に浴びています。風に揺れると、「ボクはもう大丈夫だよ」と言っているようです。順調に行けば、6月の初め頃には収穫できそうです。給食の先生がおいしく料理してくれるでしょう。

年長さんは今日、胡瓜の苗を植えました。茄子やトマトも育てる計画です。私もご相伴にあずかれるのを楽しみにしています。