なわとび

暖かな午後。眠気と戦いながらパソコンを睨みつけていると、園庭から大きな声が聞こえてきます。すわ一大事と跳び出してみれば、目に飛び込んできたのは、なわとびをするA君の姿でした。

「11,12、13、・・・」回数を数える先生の声が、次第に大きくなっていきます。真一文字に引き結ばれた口。揺るぎない跳躍。周りの子も遊びをやめて応援に加わります。他の先生も集まってきました。「21、22、23、・・・」

最後はみんなで大合唱です。「がんばれ!」という声も聞こえます。30回を軽く超えました。もちろん自己新記録です。歓声と先生のハグでもみくちゃにされながら、A君は誇らしさと気恥ずかしさがないまぜになった表情を浮かべ、二本の足でしっかりと立っています。

30回以上跳べる子は他にもたくさんいます。でも、そんなことは問題じゃない。何回跳べたかではない、誰それよりもたくさん跳べたということでもない。昨日の自分を超えたということ。苦手なことから逃げなかったということ。そのことが何よりも素晴らしい。

進級と進学を目前に控え、担任から嬉しい報告を聞くことが多くなりました。「逆上がりができるようになりました。」「お着替えを終えた後、先生の名前を呼んでそのことを伝えられました。」子どもの数だけ成長の姿があります。

「子どもはね、ある日突然、ぐんと大きくなるのよ」富子先生(前副園長)がよく口にしていたことを、いま思い出しています。