ただいま見習い中

新ぞう組(年長児)のA君やB君たちがぞろぞろと事務室に入ってきました。「しつれいします」おぼえたての挨拶にやる気がみなぎっています。

彼らは朝の9時半になると、まず給食室で「給食の紙」を受け取り、次に事務室で名簿をもらって各クラスの先生に渡し、最後にその日の出席数が記された「給食の紙」と名簿を事務室に届けます。

持ち物や行く場所がたくさんある難しい仕事です。だからぞう組さんだけの特別なお当番になっています。それに人気があるので、みんなができる訳ではありません。

選ばれた子ども達ははりきっています。3月に入ると前の年長児から徐々に引き継ぎをしてきました。

新年度早々、事件がおきました。A君がお当番の途中でいなくなってしまったのです。責任感の強いB君が気づいて、担任のC先生に捜索願いをだしました。

A君は園庭で遊んでいるところを発見されました。お当番の途中だということを忘れて、ついつい遊んでいる友だちの方に行ってしまったのです。

A君はバツのわるそうな顔をしていました。この時A君の心にめばえた様々な思いは、きっと成長への糧になるはずです。大丈夫。こんな失敗くらいでお当番を「クビ」にはなりません。今はまだ「見習い期間」だということは、C先生もよく分かっています。

ぞう組になったからといって、いきなり何でもできるようになる訳ではありません。他のクラスのお友達も同じです。新しく保育園に入ってきたお友達はなおさらですね。みんな見えないけれど「見習い」のバッジを胸にさげているのです。

そうです。この時期の子ども達は、保育園に来るだけでもう十分にがんばっているのですよ。「もう〇〇組なんでしょ、自分でやりなさい!」「そんなんだと、赤ちゃん組にもどされちゃうよ」なんて言わないでくださいね。あせらずにいきましょう。

え? アンタはそろそろ「見習い園長」のバッジをはずしたらどうかって? うーん、もうしばらく大目に見てくれないかな…