おはなし宝箱

ぼくらのヒーロー

B先生がザリガニの飼育箱を掃除しようとしたところ、あやまって箱を落としてしまいました。たくさんのザリガニが地面にちらばっています。

「たいへん、みんなつかまえて!」

近くにいたうさぎ組(3歳児)さんたちは、恐くてつかまえられません。

「そうだ、ぞう組(5歳児)さんを呼んで来よう」

騒ぎを聞きつけてやってきたのはY君。十数匹のザリガニをすべて素手でつかまえてくれました。ひときわ大きなザリガニにハサミではさまれてしまいましたが、「ぜんぜん平気だよ」と涼しい顔です。(心の中で泣いていたかも)

うさぎ組さんたちはみな、ハートになった瞳でY君を見つめていました。



忖度(そんたく)しました

きりん組(4歳児)のCちゃんが事務室に派遣されてきました。みんなと一緒にお部屋にいるのが嫌だったのだそうです。

おしゃべりが好きなCちゃんとお話をしていた園長先生が、何気なく聞いてみました。

「Cちゃんが好きな先生はだれかな?」

しばらく園長先生の顔をじっと見て

「えんちょうせんせい」(無表情で)

「じゃあ、ほかには?」

「んー、えんちょうせんせい。かっこいいから」(無表情で)

大人顔負けの凄味のある忖度に、舌を巻いた園長でした。



ユーチューバーごっこ

「はい、きょうはスライム作りをしたいと思います!」

Aちゃん、Kちゃん、Nちゃんがカメラ(想像上の)に向かってしゃべり始めました。

息の合った掛け合いで、スライム作りが進行していきます。プロデューサーのB君がときどき指示を出しています。

何をしているのか聞いたところ、これはなんとユーチューバ―ごっこだそうです。さすが令和時代の子供たちです。

スライム作りが終わると、今度は「鬼ごっこの実況配信」が始まりました。ただの鬼ごっこよりもなんだか楽しそうです。

でもみんな、ユーチューブはあまり見過ぎないようにね!(ないしょですが、じつは園長先生もときどき見てしまいます・・・)