自由に遊べ!どんどん学べ! 第1回
平成29年4月25日号
ただ遊んでいるだけで大丈夫ですか?
「宝保育園の子供はよく遊んでいますね」
園を訪れた保護者や保育関係者から、しばしばこのような言葉をかけられます。わたしたち保育者自身も、子供の遊びに真剣に向き合って、日々の保育に取り組んでいるという自負があります。
「遊び中心」という保育方針の原点に立ち返るため、平成23年頃から様々な見直しを行ってきました。
「子供の遊びをより充実させ、学びをより深いものにするためにはどうしたらよいか」
子供の反応や変化に向き合いながら、今でも見直しは続いています。
「ただ遊んでいるだけで大丈夫ですか?」
そんな声も聞こえてきそうです。
「お勉強」や「しつけ」をしてもらっている幼稚園の子とくらべて、うちの子は後れを取っているのではないかと心配になる方もいるでしょう。
フラッシュカードやワークブックを使った小学校の先取り学習、一糸乱れぬ隊列を組んだ鼓笛のパフォーマンス・・・
こうした保育を受けている子供をみると、たしかに何かを成し遂げているように見えます。そこには「成果」と呼べるものがあるような気もしてきます。
しかし、わたしはこう思うのです。
「それは、大人の自己満足に過ぎないのではないだろうか」
たしかにこうした保育からも子供は何かを学ぶでしょう。しかし、それはわたしたちが意図したほど深く豊かな学びになっているのでしょうか。
「目先のわかりやすい成果」にまどわされているだけなのではないでしょうか。
一方で自由遊びはどうでしょうか。自由遊びは、はたから見るととても分かりにくく、とらえどころのないものです。多くの場合、何かを成し遂げたようには見えませんし、成果らしきものも残りません。
本当は子供一人ひとりの興味や関心に応じた深い学びがあるにも関わらず、一見すると単にまとまりがないように映ったり、無駄に時間をすごしているように見えたりしてしまうのです。
「では、自由遊びのどこがいいのですか?」
もっともな疑問です。わたしたちが目指している就学前の教育とはどのようなものか。なぜ遊びが大切なのか。なぜ自由遊びなのか。自由ということは躾をしないのか。放任とどこが違うのか。クラスでの集団活動はなくなるのか・・・
まずは、「そもそも遊びとは何なのか」というところからお話をはじめましょう。
(次回に続きます)