4 | 非破壊的手法によるストレス診断

私たちが利用している園芸作物は,栽培時や収穫後にさまざまなストレスを受けています.例えば,トマトは,栽培中の乾燥や高温,貯蔵中の振動・温度変化などのストレスを受け,品質が低下します.このときに,ストレスを受けたかどうか(健全度)を非破壊的に簡便・迅速に評価・診断できれば,ストレスの回避や品質の予測に役立ちます.

そこで,これまでに温度(高温・低温)ストレスおよび塩ストレスによってトマトの葉と果実の光合成がどのようにダメージを受けるかを「クロロフィルa蛍光誘導期現象」という手法を用いて非破壊的に簡便・迅速に評価できるか明らかにしました.

 図は,結果の一部ですが,高温ストレスによって光合成の電子伝達鎖(光化学系II)がどのようにダメージを受けるかモデル化したものです.この方法によって,光化学系IIのダメージを受ける場所や程度,器官(葉と根)による影響の差異などが簡単に評価できます.さらに,光合成の電子伝達鎖(光化学系II)がどのようにダメージを受けるかについて,塩ストレスが葉と果実の光化学系IIモデルに及ぼす影響の差異も明らかにすることができました.この方法によって,光化学系IIのダメージを受ける場所や程度,器官(葉と根)による差異などが簡単に評価できます.

また,イチゴの機能性成分含量と関連の深いクロロフィル蛍光パラメーターを探索することができ,今後は生育中の葉のクロロフィル蛍光の変化が果実貯蔵中の品質変化や貯蔵性の変化とどのように関連しているかなどについて検討する予定です。

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