加速度センサ

加速度センサは、その名の通り加速度を検出します。

皆さん加速度って、ご存知ですよね。単位時間当たりの速度の変化です。単位で言うと[m/sec2]になります(これは定義です)。この単位と等価なものとして重力加速度gがあります。

1g≒9.8[m/sec2] (これは定義です)

この重力加速度を利用して、傾きを検知するとも言われます。

また、質量mの物体(厳密には質点とする)に働く力Fと加速度αの関係は

F=α×m (これは定義です)

となります。力Fと加速度αはベクトルですから、方向を持ちます。上式では、力Fの方向と加速度のαの方向は同じと定義します。この式は、重力加速度でも等価です。地球上ではすべての物に 9.8[m/sec2]の重力加速度が働いています。皆さん、これを常に感じておられます?

さて、そこで問題です。加速度センサを机の上に置きます(地面の上でも構いません)。つまり、上下には静止した状態にあるとします(左右には等速運動中でも構いません。お分かりですよね)。その時、加速度センサが指し示す加速度の方向は、右図のどちらでしょうか? 簡単ですよね。別に引っ掛け問題ではありません。実際においてみればわかることですから。 正解の前に、もう一つ質問です。加速度センサを机の上から落とします。その際、落下中の加速度センサの示す値はどうなりますか?厳密でなくて結構です。簡単ですよね。ただし、実際に試す際は、十分気をつけてください。落下の衝撃で加速度センサが壊れないように。 さっさと回答しましょう。

加速度センサが落下中に示す値は、ほぼ0です。

落下中のハードディスクの磁気ヘッド退避もしくは保護は、加速度センサが加速度を検出しない(つまり加速度がほぼ0)ことを判定して行っています。

これから容易に推測できますが、一般に加速度センサでは重力を直接検知できないのです。

えー、でも重力と加速度は等価じゃないの?と思われた方。いわいる等価原理では、重力による加速度と力による加速度は、見かけ上、区別できないといっているのです。同じだといっているわけではありません。

机の上においてあっても落下中でも重力加速度は働いています。机という支えがなくなると加速度センサは、自由(free)になります。机という支え(拘束しているもの)がなくなるのですから。したがって、重力加速度のみの影響を受けることになる結果、速度を増しながら落ちていくのです。いわゆる自由落下(free fall)です。「自由落下という奴は、言葉でいうほど・・・」というのは、自由の意味を取り違えているからです。(冗談ですからね、ファンの方々怒らないように)

もうおわかりですね。重力加速度で引かれているものを静止させるには、同じ加速度で引っ張り上げ続けなければなりません。机に置いた加速度センサは、机に支えられて、言葉を変えると重力と同じ大きさで反対向きの加速度を常に与えられていて、静止しているのです。これを垂直抗力といいます。私たちが重力と感じていると思っているのは、実はこの垂直抗力です。さて、皆さん、重力加速度を感じておられます?

さて最初の問題です。

机の上におかれた加速度センサの指し示す加速度の向きは、、、もうお分かりですよね。

(1)の上向きです。

加速度センサは、重力加速度を検出しているのではなく、机で生じた垂直抗力を検出しているのです。机が水平であれば、その大きさは重力加速度と同じです。水平からθ傾いていれば、重力のcosθ倍になります。 このことから傾きの検出が可能になるのです。まっ、重力加速度が無ければ、それによる垂直抗力も生じないので、「重力加速度を利用して、傾きを検知する」と言うのも、あながち間違いではないのですが、、、

私の世代では、高校生(30年以上前)の物理でしたが、皆さんは覚えていらっしゃいますか?