顧客満足―Customer Satisfaction

知覚された成果と期待


  • 顧客満足とは
「購買者の購買後の満足度は、購買者の期待に対するオファーの実際の働きによって決まる。満足とは、ある製品における知覚された成果(あるいは結果)と購買者の期待の比較から生じる喜び、または失望の気持ちである。この定義からわかるように、満足度は知覚された成果と期待との相関関係で決まる。」[1]
顧客志向の企業にとっては、これは目標となり、「顧客満足は目標であると同時にマーケティング・ツールでもある」ゆえ、その測定は顧客の離反率などを監視し、満足度調査などを行なう[2]。



  • イノベーションと考え合わせる
イノベーションを鑑みた場合、果たして顧客満足は、一意的に満足度を高めることに安心していいのだろうか?

クリステンセンは、その著で、“次なる変化”の見極めのひとつに、顧客の視点を述べている。それは、以下の顧客グループに分類される[3]。
  1. 非消費者=製品を一切消費していない顧客、あるいは不便な環境の中で何とか消費している顧客
  2. 満足度不足の顧客=満足度不足の状態で消費している顧客
  3. 満足度過剰の顧客=満足度過剰の状態で消費している顧客
著者の「破壊的成長」は、特に、この1の顧客グループにフォーカスしなければならないという。

さて、関連して、企業が恐れる“コモディティ化”について:
 
(たとえ、コモディティ化がバリューチェーンのどこかで進んでいても)
「性能がまだ『十分でない』地点に位置する企業が、利益を手にする。[4]」

としており、『十分でない』とは、結局は、顧客を満足させていないことである。バリューチェーンの中では、“顧客”とは、次の工程かもしれない。いずれにせよ、『十分である』ように企業活動を進めていくことは、顧客満足を高めていくが、それは、コモディティ化が促進される。それを進めていくのであれば(同じポジションにとどまるとすれば)、競合企業を淘汰していかなければならないだろう。

コモディティ化は、顧客グループでは“3”の満足度過剰であり、このグループの顧客は、あるサービスや機能において、その性能が十分であると考えているので、ブランドや企業ごとに異なる性能は考慮せずに選択する(各企業が十分過ぎる性能を有しているので、選択を左右する因子はない)。

逆に、サービス・製品において、顧客が『十分とする』性能に、企業が『十分でない』とし、資源を投下することは、ほとんどの場合ムダとなる。
従って、コモディティ化してきたバリューチェーンにおいても、周辺でどこか『十分でない』ことが起きはじめる。そこが次なる利益の源なのである。




<参考文献>
[1]フィリップ・コトラー, 恩藏直人訳, 月谷真紀訳, 『コトラーのマーケティング・マネジメント 基本編』,ピアソン・エデュケーション, 2002, p28, 顧客満足より。(現在は第3版:『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 基本編 第3版』)
[2]フィリップ・コトラー, ケビン・レーン ケラー, 恩藏 直人監修, 月谷真紀訳, 『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版』, ピアソン・エデュケーション, 2008, pp178-181, 満足度の測定より。
[3]クレイトン・M・クリステンセン, スコット・D・アンソニー, エリック・A・ロス, 宮本喜一訳,『明日は誰のものか イノベーションの最終解 (Harvard business school press)』ランダムハウス講談社,2005.第1章 変化のシグナルより。原著は『Seeing What's Next: Using the Theories of Innovation to Predict Industry Change
[4]クレイトン・クリステンセン, マイケル・レイナー, 玉田俊平太監修, 櫻井祐子訳,『イノベーションへの解 収益ある成長に向けて (Harvard business school press) 』翔泳社,2003.第6章 コモディティ化をいかにして回避するか,より。原著は『The Innovator's Solution: Creating and Sustaining Successful Growth

Wikipedia 「顧客満足」