練気十八法は合計18のフォームからなり、各フォームではそれぞれ同じ動きを4回繰り返して行う。
動作の説明に用いた方向(前後左右)は全て練気十八法を開始したときの方向に基づいている。即ち、開始時に顔の向いている方向が前方、背中側が後方、右側が右方、左側が左方である。
準備
両足を肩幅程度に開いて左右平行にする(両足の爪先は前方に向ける)。背筋を伸ばし、肩の力を抜いて両腕をゆったりと左右に垂らす。口は閉じて歯を合わせ、舌先を口蓋につける。ゆっくりと鼻で腹式呼吸を数回行い、気持ちを鎮めてリラックスする。
1. 首を左右上下に動かす
両足は肩幅程度に開いたまま、親指が背中側にくるように両手を腰に置く。息を吐く。
A. 息を吸いながら、頭を左へ回す。このとき肩は動かさず体は正面を向いたままにする。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、頭を戻して前方を向く。
B. 息を吸いながら、頭を右へ回す。このとき肩は動かさず体は正面を向いたままにする。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、頭を戻して前方を向く。
C. 息を吸いながら、頭を後ろへ反らす。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、頭を戻して前方を向く。
D. 息を吸いながら、頭を前へ俯ける。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、頭を戻して前方を向く。
2. 肘を曲げて腕を左右に開く
両足は肩幅程度に開いたまま、顔の前で両手で半球形を作る。
A. 息を吸いながら、両手を拳に変えながら肘を曲げたまま両腕を左右に開くと同時に、頭を左に回す。拳の平の向きは前方。このとき、可能な限り肩甲骨を脊柱に引きつける。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、両腕と頭を戻して元の姿勢に戻る。目は左手を追う。
B. Aと同じ動きを行う。但し、頭は右に回し目は右手を追う。
AとBの動きを合計2回行う。
3. 両手を上に伸ばす
両足は肩幅程度に開いたまま、両手は顔の前で半球形を作ったままにする。 息を吸いながら、赤ちゃんを頭上高く抱え上げるように両手を上げる。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、両手を胸元に下ろして半球形を作る。目は両手を追う。
合計4回行う。
4. 肘を伸ばして腕を左右に開く
両足は肩幅程度に開いたまま、顔の前で両手で半球形を作る。
A. 息を吸いながら、両手を前に出し腕を地面と水平に伸ばしてから左右に分けて開く。開いたとき手の平は前方を向く。両腕を開くと同時に頭を左に回す。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、両手と頭を同じ経路で戻して元の姿勢に戻る。目は左手を追う。
B. Aと同じ動きを行う。但し、頭は右に回し目は右手を追う。
AとBの動きを合計2回行う。
5. 背中を擦り上げる
両足は肩幅程度に開いたまま、両手は体の左右に下ろす。
息を吸いながら、両腕を伸ばしたまま両手の甲を体の後ろにつけて、左右の腎臓を通って背中を手の甲で擦り上げる(腎臓マッサージ)。手の甲で脇の下を擦りながら両手を体の前に出し、互いの甲を合わせて目の高さまで上げる。それから、指を上向きにし手の平を互いに向かい合わせて半球形を作る。息を吐きながら、両手を下ろす。
合計4回行う。
6. 片手を上げる
両足は肩幅程度に開いたまま、手の平を外側に向けて両手を腰の背中側につける。右手が下側。
A. 息を吸いながら、右手を下ろしてから、手の平は下向きにし手首の力を抜いて右方へ上げる。引き続き右手を頭上に上げてから、手の平を上向き指先を左向きにして手の平を押し上げる。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、右手を右方へ下ろしてから再び背中につける。このとき、左手で右手を持ち上げる。目は右手を追う。
B. 息を吸いながら、左手を下ろしてから、手の平は下向きにし手首の力を抜いて左方へ上げる。引き続き左手を頭上に上げてから、手の平を上向き指先を右向きにして手の平を押し上げる。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、左手を左方へ下ろしてから再び背中につける。このとき、右手で左手を持ち上げる。目は左手を追う。
AとBの動きを更に1回ずつ繰り返す。
7. 組んだ両手を上げて左右に屈伸する
両足は肩幅程度に開いたまま、丹田(dāntián、ダンティエン。へその下9cmのところで体の内部に位置する)の前で手の平を上向きにして両手を組む。
A. 息を吸いながら、両手を組んだまま持ち上げ顔の前で手の平を外向きに反して頭上に高く上げる。目は両手を追う。目を前方へ向け、息を吐きながら左に3回屈伸する。このとき、体が前傾しないようにする。息を吸いながら、両手を同じ経路を通って元の位置に下ろす。このとき、顔の前で手の平を内向きにし、丹田の前では手の平を上向きにする。目は両手を追う。
息を吐きながら、両手を離して両腕を左右に少し開くと同時に、左足を右足にそろえる。右足を右方に一歩出してから、丹田の前で再び手の平を上向きにして両手を組む。
B. 息を吸いながら、両手を組んだまま持ち上げ顔の前で手の平を外向きに反して頭上に高く上げる。目は両手を追う。目を前方へ向け、息を吐きながら右に3回屈伸する。このとき、体が前傾しないようにする。息を吸いながら、両手を同じ経路を通って元の位置に下ろす。このとき、顔の前で手の平を内向きにし、丹田の前では手の平を上向きにする。目は両手を追う。
息を吐きながら、両手を離して両腕を左右に少し開くと同時に、右足を左足にそろえる。左足を左方に一歩出してから、丹田の前で再び手の平を上向きにして両手を組む。
AとBの動きを更に1回ずつ繰り返す。
8. 向きを変えて平手を押し出す
左足を左方に一歩出して両足幅を肩幅よりも広くする。両手は拳に変えて拳の平を上向きにして腰に置く。
A. 息を吸いながら、左手を平手に変えて手の平を外側に向けて前方に押し出してから、手首を反時計回りに回して手の平を上向きにし、拳に変えながら引いて腰に戻す。左手を引くと同時に、息を吐きながら、右手を平手に変えて手の平を外側に向けて前方に押し出し、体を左方に向け左膝を曲げて左弓右矢式になる。顔は後方を向く。この姿勢をしばらく保つ。息を吸いながら、右手首を時計回りに回して手の平を上向きにし、息を吐きながら、右手を拳に変えて引いて腰に戻すと同時に、体を前方に向けて騎馬式になる。
B. 息を吸いながら、左手を平手に変えて肩の高さへ上げ、息を吐きながら、手の平を外側に向けて前方に押し出す。同時に、体を右方に向け右膝を曲げて右弓左矢式になる。顔は後方を向く。この姿勢をしばらく保つ。息を吸いながら、左手首を反時計回りに回して手の平を上向きにし、息を吐きながら、左手を拳に変えて引いて腰に戻すと同時に、体を前方に向けて騎馬式になる。
AとBの動きを更に1回ずつ繰り返す。
9. 手を腰にあてて上体を回す
両足は肩幅よりも広く開いたまま両膝を伸ばし、親指が前側にくるように両手を腰に置く。
A. 息を吸いながら、腰を深く曲げて前屈する。息を吐きながら、上体を左回りに大きく回し、息を吸いながら、前屈の姿勢に戻る。息を吐きながら、上体を起こして元の姿勢に戻る。
B. 息を吸いながら、腰を深く曲げて前屈する。息を吐きながら、上体を右回りに大きく回し、息を吸いながら、前屈の姿勢に戻る。息を吐きながら、上体を起こして元の姿勢に戻る。
AとBの動きを更に1回ずつ繰り返す。
10. 腕を開いて前屈する
両足は肩幅よりも広く開いたまま、両手は左右に垂らす。
息を吸いながら、両手を丹田の前で重ね合わせて頭上に上げる。頭上に上げたとき、手の平は外側に向ける。目は両手を追う。息を吐きながら、両手を左右に分けて下ろすと同時に腰を深く曲げて前屈し、手の平を足の甲の外側につける。このとき、脚はまっすぐに伸ばす。上体の力を抜いてこの姿勢をしばらく保つ。息を吸いながら、両手をパンと打ち合わせ、息を吐きながら、両腕は力を抜いて垂らしたまま上体を起こして元の姿勢に戻る。
合計4回行う。
✳︎両手が足の甲へつかない人は、無理をせず脚へつけてもよい。
11. 弓矢式で平手を上げる
両足は肩幅よりも広く開いたまま、両手を拳に変えて拳の平を上向きにして腰に置く。
A. 息を吸いながら、体を左方に向け左膝を曲げて左弓右矢式になると同時に、右手を平手に変えて左上方へ伸ばす。右腕の角度は45度、手の平は後方へ向ける。右手を見る。この姿勢をしばらく保つ。右手首を時計回りに回して手の平を上向きにし、息を吐きながら、右手を拳に変えて引いて腰に戻すと同時に、体を前方に向けて騎馬式になる。
B. 息を吸いながら、体を右方に向け右膝を曲げて右弓左矢式になると同時に、左手を平手に変えて右上方へ伸ばす。左腕の角度は45度、手の平は後方へ向ける。左手を見る。この姿勢をしばらく保つ。左手首を反時計回りに回して手の平を上向きにし、息を吐きながら、左手を拳に変えて引いて腰に戻すと同時に、体を前方に向けて騎馬式になる。
AとBの動きを更に1回ずつ繰り返す。
12. 両手を足につける
左足と右足をそろえ、踵はつけて爪先は少し開いて立つ。両手は左右に垂らす。
息を吸いながら、両手を丹田の前で手の平を上向きにして組んでから引き上げ、顔の前で手の平を外向きに反して頭上に高く上げて体全体を伸ばす。目は両手を追う。息を吐きながら、両手は組んで腕は伸ばしたまま前屈し、手の平を両足の甲又は地面につける。このとき、脚はまっすぐに伸ばす。目は両手を追う。息を吸いながら、両手をほどいて垂らすと同時に、上半身の力も抜く。息を吐きながら、力を抜いたままゆっくりと上体を起こして元の姿勢に戻る。
合計4回行う。
✳︎両手の平が足の甲又は地面につかなくてもよい。決して無理をしないこと。
13. 弓仆歩で腰をひねる
両足はそろえたまま、親指が背中側にくるように両手を腰に置く。
A. 息を吸いながら、右足を一歩右方へ出し、右足に体重をかけて膝を少し曲げ、左足の爪先を左方へ90度開いて体を左方へ向ける。右足の爪先は前方に向けたまま(右足と左足がL字形になる)。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、左足のつま先を戻して前方を向き、右足を戻して元の姿勢に戻る。
B. 息を吸いながら、左足を一歩左方へ出し、左足に体重をかけて膝を少し曲げ、右足の爪先を右方へ90度開いて体を右方へ向ける。左足の爪先は前方に向けたまま(左足と右足がL字形になる)。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、右足のつま先を戻して前方を向き、左足を戻して元の姿勢に戻る。
AとBの動きを更に1回ずつ繰り返す。
14. 右左に膝を回す
両足はそろえたまま、両手を左右に垂らす。
A. 息を吸いながら、両膝を曲げて両手を膝に置く。それから、両膝を右回りに大きくゆっくりと8回まわす。この間、息を止めない。息を吐きながら、膝を伸ばして元の姿勢に戻る。
B. 息を吸いながら、両膝を曲げて両手を膝に置く。それから、両膝を左回りに大きくゆっくりと8回まわす。この間、息を止めない。息を吐きながら、膝を伸ばして元の姿勢に戻る。
AとBの動きを更に1回ずつ繰り返す。
15. 両手を水平に伸ばしてしゃがむ
両足はそろえたまま、両手は左右に垂らしたままにする。
息を吸いながら、両膝をそろえたまま深くしゃがむと同時に両手を前方へ伸ばす。踵を上げない。背中を丸めない。両手は指先が肩より少し低くなるようにする。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、両膝を伸ばし両手を引いて元の姿勢に戻る。
合計4回行う。
16. 騎馬式で片手を押し上げる
左足を左方へ大きく一歩出して騎馬式になる。このとき、膝をできる限り深く曲げるが、腰の位置は膝より下がらないようにする。両腕を交差して両手の平をそれぞれ反対の膝の上に置く。左腕が内側、右腕が外側。
A. 息を吸いながら、左手を抜いて左方下に伸ばし、手の平は下向きで手首の力を抜いて左方へ上げる。左手が頭上にきたら、手首を反して手の平を上向き指先を右向きにして手の平を押し上げる。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、手の平は外側に向けたまま左手を左方へ下ろし、それから右膝の上に置く。右腕が内側、左腕が外側。目は左手を追う。
B. 息を吸いながら、右手を抜いて右方下に伸ばし、手の平は下向きで手首の力を抜いて右方へ上げる。右手が頭上にきたら、手首を反して手の平を上向き指先を左向きにして手の平を押し上げる。この姿勢をしばらく保つ。息を吐きながら、手の平は外側に向けたまま右手を右方へ下ろし、それから左膝の上に置く。左腕が内側、右腕が外側。目は右手を追う。
AとBの動きを更に1回ずつ繰り返す。
✳︎両手を膝の上に置くことができない人は、無理をせず腿へつけてもよい。
17. 胸の前で膝を抱える
左足と右足をそろえ、踵はつけて爪先は少し開いて立つ。両手は左右に垂らす。
A. 息を吸いながら、左斜め前方へ左足を一歩出し、続いて右足を同じ方向へ一歩出す。息を吐きながら、左腿を上げ両手を左膝の下に当てて腿を胸に引き寄せる。この姿勢をしばらく保つ。息を吸いながら、両手をほどいて左足を一歩後退し、続いて右足を一歩後退してから、息を吐きながら、左足を右足にそろえて元の位置と姿勢に戻る。
B. 息を吸いながら、右斜め前方へ右足を一歩出し、続いて左足を同じ方向へ一歩出す。息を吐きながら、右腿を上げ両手を右膝の下に当てて腿を胸に引き寄せる。この姿勢をしばらく保つ。息を吸いながら、両手をほどいて右足を一歩後退し、続いて左足を一歩後退してから、息を吐きながら、右足を左足にそろえて元の位置と姿勢に戻る。
AとBの動きを更に1回ずつ繰り返す。
18. 膝と腰を屈伸する
両足はそろえたまま、親指が背中側にくるように両手を腰に置く。
A. 左足を左前方に出して踵を床につけて爪先を上げる。息を吸いながら、腰を深く曲げて左足の爪先に向かって前屈するとともに、左脚はまっすぐにしたまま右膝を少し曲げる。左足を見る。息を吐きながら、右膝を伸ばすと同時に左前方上に伸び上がって両足の爪先で立ち、左脚に体重をかける。左前方上を見る。前屈、伸び上がり、前屈、伸び上がり、前屈を行う。息を吐きながら、右膝を伸ばして上体を起こし、左足を右足にそろえて元の姿勢に戻る。
B. 右足を右前方に出して踵を床につけて爪先を上げる。息を吸いながら、腰を深く曲げて右足の爪先に向かって前屈するとともに、右脚はまっすぐにしたまま左膝を少し曲げる。右足を見る。息を吐きながら、左膝を伸ばすと同時に右前方上に伸び上がって両足の爪先で立ち、右脚に体重をかける。右前方上を見る。前屈、伸び上がり、前屈、伸び上がり、前屈を行う。息を吐きながら、左膝を伸ばして上体を起こし、右足を左足にそろえて元の姿勢に戻る。
AとBの動きを更に1回ずつ繰り返す。
✳︎伸び上がったとき両足の爪先で立つことができない人は、無理をせず体重をかける足の踵を地面につけてもよい。
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両足はそろえたままで、両手を左右に垂らす。